野辺地町議会は15日、臨時会を開き、熊谷晴雄議長から提出されていた議長職の辞職願について、許可しないことを決定した。熊谷氏は引き続き、議長職にとどまることになる。議長の辞職に関する不許可は同町議会で初めてで、全国的にも極めて珍しいケースとみられる。[br][br] 辞職願は熊谷氏が1日に突如提出。書面では理由を「一身上の都合」としていた。ただ、これまでの取材に、熊谷氏は町役場新庁舎建設を巡る町側の対応を問題視したことが発端になったと明かしていた。[br][br] 町議会は現在、野村秀雄町政に対する与野党の勢力が拮抗(きっこう)。野党の熊谷氏が議長を務めるため、議決では与党有利の状況が続いている。辞職して一般議員になれば形勢が逆転する可能性があり、可否が注目されていた。[br][br] 同日は、与党側の杉山福行副議長が議長代理を務め、熊谷氏を除く町議10人で起立採決を行った。その結果、5対5の同数となり、杉山副議長の判断で「許可しない」ことを決めた。[br][br] 杉山副議長は取材に「辞職の理由が『一身上の都合』のみで、体調などは万全ということだった。私たちが選んだ議長なので続けてほしい」と理由を説明した。ただ、野党議員からは「本人の意思を尊重していない。納得できない」と反発の声が聞かれた。[br][br] 熊谷氏は取材に「辞めたくても辞めさせてもらえないならしょうがない」と一言。今後は同僚議員と話し合い、再び辞職願を提出するか検討するとした。[br][br] 今回の与野党の駆け引きについて、町民はあきれた様子。町内の60代男性は「(議長を)やる気がないなら、辞めさせればいい。議員も、町民を置いてきぼりにしないで自分たちの仕事をしっかりしてほしい」と話した。