天鐘(2月11日)

♪赤い夕陽(ゆうひ)が校舎をそめて/ニレの木陰に/はずむ声…。舟木一夫さんが学生服姿で歌った『高校三年生』は1963年のヒット曲。“団塊”の辺りには懐かしい旋律だろう▼小学校、中学校、そして高校。移ろう学生生活の中でも、やはり高校最後の年は.....
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 ♪赤い夕陽(ゆうひ)が校舎をそめて/ニレの木陰に/はずむ声…。舟木一夫さんが学生服姿で歌った『高校三年生』は1963年のヒット曲。“団塊”の辺りには懐かしい旋律だろう▼小学校、中学校、そして高校。移ろう学生生活の中でも、やはり高校最後の年は特別だ。友と語らい、友と別れ、それぞれの道へ。熱く濃密な1年への深き感慨こそ、この学年が歌になる理由だろう▼大切な青春の一ページをコロナに振り回されてしまった今の3年生に思いが至る。春の一斉休校に始まり、勉強も部活も思うに任せなかった。集大成のイベントがなくなり、多くの人が涙に暮れた。何のためにこれまで…と▼将来を賭ける受験は制度が変更、周囲に気遣いながら挑む難関である。悔しさ、戸惑い、怒り、悲しみ…。振り返れば激動の1年だった。そして、仲間と過ごす大事な時間も、残すところあとわずか▼『高校三年生』を作曲した遠藤実さんは家が貧しく、満足に学校に行けなかった。明るさに哀調もにじむあの旋律は、夢に見た学園生活への憧れにも聞こえる。今ごろは空から、巣立つ人に応援のタクトを振っているのかもしれない▼♪ぼくら/離れ離れになろうとも/クラス仲間は/いつまでも。この先、どこかでまた会える。その時、「逆境を乗り越えた世代」と笑って胸を張れればいい。間違いなくコロナ後の社会を担う。卒業まで、どうか全力で。