【にぎわい創出の行方 はっち開館10年】(中)民間再開発の呼び水に

八戸市中心街の「三日町交差点」に建設された「DEVELD八日町」。はっちの開館で民間再開発の動きが進んだ=8日
八戸市中心街の「三日町交差点」に建設された「DEVELD八日町」。はっちの開館で民間再開発の動きが進んだ=8日
2020年7月30日。新型コロナウイルス禍が暗い影を落とす八戸市中心街に久々の明るいニュースが届いた。再開発構想が持ち上がってから8年余り。「三日町交差点」の一角で建設が進められてきた複合ビル「DEVELD(ディベルド)八日町」がついに完成.....
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 2020年7月30日。新型コロナウイルス禍が暗い影を落とす八戸市中心街に久々の明るいニュースが届いた。再開発構想が持ち上がってから8年余り。「三日町交差点」の一角で建設が進められてきた複合ビル「DEVELD(ディベルド)八日町」がついに完成し、メインストリートの街並みは大きく変わった。[br][br] DEVELD八日町は、同市の総合建設業・田名部組を母体とする「新八日町プロジェクト」が整備。空きビルで街の景観を損ねていた旧長崎屋を解体し、分譲マンションを核とした13階建てビルに建て替えた。[br][br] 再開発構想は「はっち」開館翌年の12年1月に浮上した。その直前、第三セクター・まちづくり八戸が建設する借り上げ市営住宅「八戸番町ヒルズ」も完成し、閉塞感が漂う街に変化の兆しが見え始めていた。[br][br] 新八日町プロジェクトの田名部智之社長は「はっちや番町ヒルズが建設され、街に人が住み、集う環境ができたことで再開発につながった」と当時を回顧。「ビルの完成によって100人以上が街に住むようになり、景観も良くなった」と話す。計画当初よりも商業機能は後退したが、地元企業主導で新たなビルが誕生した意義は大きかった。[br][br]   ■    □[br][br] はっち開館は、民間による再開発事業の呼び水になった。16年には江陽閣(同市)が、三日町と六日町にまたがる旧レック・旧マルマツ跡地に複合ビル「ガーデンテラス」を開設。市が建設したマチニワと連動させ、三日町と六日町を行き来しやすい環境を整えた。[br][br] 既存の建物をリニューアルし、再活用に乗り出したケースもある。十三日町の旧三元ビルを取得した「みちのくジャパン」(岩手県北上市)は13年に改装し、テナントビル「フラワーエイトビル」を開業させた。[br][br] 所有者が替わり、新たなテナントの入居で活性化したビルも存在する。八戸商工会議所の山内隆専務理事は「はっちの開館後は東日本大震災も含めて環境の変化が大きかった時期だが、民間の投資意欲が高まって再開発や再活用につながった」との見方を示す。[br][br]   □    ■[br][br] はっち開館直後は、中心街に物販店や飲食店などの出店も相次いだ。ただ、新規創業としてにぎわいを生んだ一方、経営不振で撤退した事業者も多く、ビルの空きフロアも散見される。[br][br] 18年3月に終了した第2期市中心市街地活性化基本計画では、三日町、十三日町、六日町、十六日町、八日町角地、廿三日町角地の6街区で1階路面店の空き店舗・空き地率を数値目標の一つとして重視。11年度は19・2%だったが、17年度は10・3%に改善した。[br][br] 現行の3期計画は6街区に番町と花小路を加え、計画が終了する23年度の目標値を8・2%に掲げる。だが、直近の19年度は12・1%と悪化傾向にあり、目標の達成は容易ではない。建物の2階以上のフロアを含めれば、空洞化が進む商業ビルも目立っている。[br][br] あるビルオーナーは「はっち開館で高まった機運が一時期よりも薄れたのは確か。市と中心商店街が連携して街に人を呼び込むだけでなく、消費を促す仕組みをつくらなければ、今までの中心街の機能を維持するのは難しい」と指摘する。八戸市中心街の「三日町交差点」に建設された「DEVELD八日町」。はっちの開館で民間再開発の動きが進んだ=8日