【連載・八戸西初の甲子園へ】(3)SNS

SNSを活用した練習に力を入れてきた八戸西。部員とスタッフ陣は日々のラインメッセージを通じて絆を深めている=八戸西高
SNSを活用した練習に力を入れてきた八戸西。部員とスタッフ陣は日々のラインメッセージを通じて絆を深めている=八戸西高
八戸西が21世紀枠で選出された理由の一つに、公立校ながら昨秋の青森県大会で準優勝、東北大会ベスト8と、例年以上の好成績を残したことが挙げられる。躍進の要因の一つは、SNS(会員制交流サイト)の有効活用。指導スタッフは部員40人と無料通信アプ.....
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 八戸西が21世紀枠で選出された理由の一つに、公立校ながら昨秋の青森県大会で準優勝、東北大会ベスト8と、例年以上の好成績を残したことが挙げられる。躍進の要因の一つは、SNS(会員制交流サイト)の有効活用。指導スタッフは部員40人と無料通信アプリ「LINE(ライン)」のグループチャット機能でつながり、綿密なコミュニケーションを図っている。これが練習の効率化、絆の強化に威力を発揮している。[br][br] SNSの活用は小川貴史監督が就任した2018年から始まった。外部コーチの小川監督は当時、むつ市のむつ養護学校(むつ養)に勤務。八戸市とむつ市を行き来する生活を送っており、選手の状態把握も十分にできない状況だった。[br][br] 元々、野球部では練習の振り返りなどをナインが部日誌に記入し、監督がそれに対して返事や評価を書くという、いわゆる「野球ノート」を採用していた。だが、小川監督は指導に当たる時間すら十分に取れず、当然、ノートの交換も難しかった。「もっと選手との意思疎通を図る方法はないか」。そうして思いついたのがSNSの導入だ。[br][br] 部員と監督、コーチ陣で形成するチャットグループを作り、欠席報告など日々の事務連絡、部日誌の代わりとして活用を始めた。これが“現代っ子”部員に浸透。部員一人ひとりとのメッセージのやり取りも行っており、現在に至るまで、毎日のようにラインを駆使したコミュニケーションが繰り広げられている。[br][br] 昨春からはSNSの活用が一層活発になった。新型コロナウイルスの影響で学校は休校になり、2月下旬から約2カ月間は部活動の自粛を強いられた。部員各自が自宅で自主練習する中で、素振りやシャドーピッチングの様子を動画撮影し、グループで共有。小川監督やコーチ陣は動画をチェックし、一人ずつにアドバイスを送るなど、全体練習ができない期間にも技術向上に取り組んだ。[br][br] ナインにも小川監督の熱意は伝わっている。下井田大和(2年)は「練習の振り返りに対するアドバイスも的確。苦労をかけている分、感謝の気持ちを持って練習できている」と話す。椛木聡斗(1年)も「みんながしっかり自主練習をしていると思うと、やる気が出た」と声を弾ませる。[br][br] 小川監督は「SNSは野球ノートよりも手軽にやり取りでき、休校期間中も一人ひとりとしっかり向き合えた。SNSを使って密度の濃い練習を継続してきたことが、秋の結果にもつながったと思う」と手応えを口にした。[br][br] 甲子園本番まで2カ月を切った。SNSを介した“キャッチボール”でチームの結束力はさらに高まっている。SNSを活用した練習に力を入れてきた八戸西。部員とスタッフ陣は日々のラインメッセージを通じて絆を深めている=八戸西高