【緊急事態宣言延長】福田日本大危機管理学部長(八戸出身)、政府の対応に苦言

本紙インタビューに答える福田弥夫危機管理学部長=日本大三軒茶屋キャンパス
本紙インタビューに答える福田弥夫危機管理学部長=日本大三軒茶屋キャンパス
新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言の延長を2日に決定した政府。「第3波」を巡る一連の対応について、日本大危機管理学部長の福田弥夫教授(62)=八戸市出身=は本紙取材に対し、「既に昨年夏の段階で危険性が予想されていたはずだ」と政.....
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 新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言の延長を2日に決定した政府。「第3波」を巡る一連の対応について、日本大危機管理学部長の福田弥夫教授(62)=八戸市出身=は本紙取材に対し、「既に昨年夏の段階で危険性が予想されていたはずだ」と政府の対応に苦言を呈した。情報発信など「リスクコミュニケーション」の在り方にも問題があるとし、第4波や変異型の流行への備えを早急に整えるよう提言する。[br][br] あらかじめ最悪の事態を想定し、仮に直面しても被害を最小限にとどめるようコントロールするのが危機管理の要点と語る福田氏。国内で感染が広がり始めて1年近くたつ中、「昨年春には神奈川県で専用病院を設ける動きもあった。時間的余裕があったのに、そうしたことを考えられなかったのか」と首をかしげる。[br][br] なぜ動きが鈍いのか。福田氏は経済への影響や対策に伴う財源の問題がためらいの一因になったとの見方とともに、感染症対応の経験不足を理由に挙げる。[br][br] 過去の中東呼吸器症候群(MERS)を教訓に、コロナ初期からPCR検査の態勢を整えていた韓国を引き合いに出し、「日本は最後に大流行したのが100年前のスペイン風邪。外国の状況を見れば(対応が)簡単ではないと分かったはずなのに、甘く見ていたのではないか」と危機感の薄さを指摘した。[br][br] 政府の対応の中でも「最大の問題点」とするのが国民へのメッセージの発し方だ。「Go To(トラベル)を始めた段階で大丈夫だと勘違いさせた。午後8時までの飲食店営業もリスクを周知させる上では間違い」と批判する。[br][br] 特措法改正案を議論する国会に対しても「第1波の時点で不備が分かっていたはず。年末年始を返上するぐらいの対応を考えられなかったのか」と疑問を投げ掛け、「これで終わりではない。変異型が流行する危険性も高く、今回のことを教訓に体制を整えなければ大変なことになる」と警鐘を鳴らす。[br][br] 【略歴】ふくだ・やすお 青森県立八戸高を経て日大法学部卒、同大学院法学研究科博士後期課程中退。博士(法学)。八戸大商学部教授、武蔵野大現代社会学部教授などを経て2016年から現職。八戸市出身。本紙インタビューに答える福田弥夫危機管理学部長=日本大三軒茶屋キャンパス