天鐘(2月3日)

岩手県釜石市の海岸に、島倉千代子さんが歌った『おかえりなさい』の歌碑がある。♪あなたの帰りを待っている…。震災の犠牲者に呼び掛けるような歌詞は復興に励む人たちの心の支えだ▼被災地はもちろん、列島挙げての「おかえりなさい」である。大リーグの田.....
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 岩手県釜石市の海岸に、島倉千代子さんが歌った『おかえりなさい』の歌碑がある。♪あなたの帰りを待っている…。震災の犠牲者に呼び掛けるような歌詞は復興に励む人たちの心の支えだ▼被災地はもちろん、列島挙げての「おかえりなさい」である。大リーグの田中将大投手が楽天に戻ってきた。あの「東日本」から10年。「皆さんと一緒に頑張る」と、心意気を示した▼フリーエージェント(FA)の今年、移籍市場の事情もあった。けれども常に、東北でのプレーを意識してきたという。「決して、腰掛けではありません」。バリバリの大リーガーにみちのくは奮い立ち、他球団は既に戦々恐々だ▼日本一になったあの日を思い出す。勝利の瞬間の、小雨の中の雄叫び。悲しき「3・11」をひっくり返した「11・3」の感動。魂で投げ込んだあの一球一球に、どれだけの人が元気づけられただろう▼春遠い被災地の復興はいまだ道半ば。加えて、感染症の黒雲が立ちこめ、息苦しい日々が続く。不安な世には英雄が現れるという。支えになるべき政治が頼りない今、豪腕の「背番号18」に、日本の希望や未来まで託したくなる▼「マー君、神の子、不思議な子」。国内の公式戦は驚異の28連勝中。“負けない東北”を背負ってのマウンドになる。プロ野球は待望のキャンプイン。大勢のファンが歌っている。♪あなたの第1球を待っている―。