離れていても元気な姿を コロナ禍、八戸の老健が映像提供サービス

施設のクリスマスパーティーを楽しむ北山マセさん(左)の様子を撮影する施設スタッフ=2020年12月23日、八戸市 
施設のクリスマスパーティーを楽しむ北山マセさん(左)の様子を撮影する施設スタッフ=2020年12月23日、八戸市 
会いたくても会えない家族のために―。八戸市の介護老人保健施設サンライフ豊寿苑は、新型コロナウイルスの影響による面会制限の長期化を受け、利用者の日々の様子を撮影したDVDを作成し、家族に届けるサービスに取り組んでいる。再会を待ちわびる地元の家.....
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 会いたくても会えない家族のために―。八戸市の介護老人保健施設サンライフ豊寿苑は、新型コロナウイルスの影響による面会制限の長期化を受け、利用者の日々の様子を撮影したDVDを作成し、家族に届けるサービスに取り組んでいる。再会を待ちわびる地元の家族ばかりでなく、帰省を自粛する孫や親戚にも元気な姿を見せられると喜ばれており、施設関係者は「離れていても、心がつながっていることを感じてもらえたら」と願いを込める。 [br][br] 同施設では、季節性インフルエンザの流行期に入っていた一昨年の秋ごろから面会制限が続いている。[br][br] 新型コロナの感染拡大を受けたこの1年は厳戒態勢となり、普段であれば利用者と家族が一緒にいられるはずの年末年始ですら、面会を禁止せざるを得なかった。DVDの作成は、こうした状況に心を痛めた施設職員が発案。昨年12月からサービスを始めた。[br][br] 昨年末に同施設で行われたクリスマスパーティー。ホームビデオを構える職員の前で、サンタクロースの衣装に身を包んだ北山マセさん(95)が、おいしそうにケーキを頰張っていた。楽しそうに過ごすこの日の映像は、日々の様子と合わせて5分ほどに編集され、家族に届けられた。[br][br] 始めて間もないサービスにもかかわらず、撮影の依頼は相次いでいる。80代の母親が施設を利用する女性は「母の顔を見られてうれしい。何よりもスタッフの一生懸命さが映像から伝わってきて感動した」と感謝。「関東地方に住む親戚にも送るつもり」と話した。[br][br] 同施設では昨年から利用者直筆のメッセージを添えた家族宛ての年賀状作りも始めた。田頭繁治さん(92)は、病気で手に震えがあるものの、息子宛てに「体に気を付けて、頑張れ。父より」と心を込めて書き記した。[br][br] 思いがけない“贈り物”は、離れ離れとなっている利用者と家族の心をつなぐ。母親(91)から年賀状を受け取った女性は「母の字だとすぐに分かった。もう書けないと思っていたので、元気な様子が伝わり安心した」とほほ笑んだ。[br][br] 同施設の担当者は「スタッフが考えた企画を喜んでくれるのが励み。私たちの方も元気をもらっている」と強調。利用者と家族の笑顔は、コロナ禍で踏ん張る福祉現場の支えにもなっている。施設のクリスマスパーティーを楽しむ北山マセさん(左)の様子を撮影する施設スタッフ=2020年12月23日、八戸市