高校再編、議論の行方は… 青森県教委が実施計画年内策定へ

青森県内の中学校卒業者数の減少を見据え、県教委は2021年中に県立高校再編第2期実施計画(2023~27年度)を策定する予定だ。20年に県内6地区で開いた意見交換会では「通学環境に配慮して学校を残すべきだ」「統廃合して学校の規模を維持して」.....
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 青森県内の中学校卒業者数の減少を見据え、県教委は2021年中に県立高校再編第2期実施計画(2023~27年度)を策定する予定だ。20年に県内6地区で開いた意見交換会では「通学環境に配慮して学校を残すべきだ」「統廃合して学校の規模を維持して」など統廃合を巡って賛否の意見が出た。1校当たりの生徒数が少なくなっても全学校を存続させるのか、一定の生徒数を維持するために統廃合を選ぶのか―。県教委による議論の行方が注目される。[br][br] ■存続の声大きく[br] 県教委は第2期計画の5年間で、県全体の中学校卒業者数は981人減、高校の募集学級数は19学級減を見込んでいる。[br][br] 昨年12月の第2回意見交換会では、学級数の減少を踏まえ▽全学校を存続▽いくつかの学校を統廃合―など地区ごとに複数の学校配置案を提示。委員を担う市町村教委の教育長やPTA関係者が各案の効果や課題について意見を交わした。[br][br] 第1期実施計画(18~22年度)により、21年度末に五戸と田子の2校が閉校となることが決まっている三八地区。三戸郡の高校は三戸と名久井農業のみとなる。生徒の通学環境への配慮や高校がなくなることによる地域衰退への危惧から、三戸と名農の存続を求める地域の声は大きい。[br][br] ■大規模校新設案も[br] 郡部の高校の存続を求める声は他地区でも出ている。ただ、中学校卒業者数は年々減少し、少子化は避けられない。「部活動や学校行事の充実のためには一定の生徒数が必要」として、複数の学校の統合を肯定する意見もある。[br][br] 仮に複数の学校を統合しても、新設校に魅力や特色がなければ生徒は集まらない。第1期計画で新設した学校は、統合したいずれかの学校の校舎を使用しており、新しい校舎を造った例はない。[br][br] 三八地区では「全く新しい校舎や設備を準備して魅力ある学校にするなら統合する意義がある」と指摘する委員もいた。上北地区では三本木と三本木農業恵拓、六ケ所を除く計6校を統合し、1学年18学級という大規模な新設校をつくる案も提示された。[br][br] ■地域の実情どう反映?[br] 学級数の減少も一筋縄ではいかない。教員数は学校の収容定員に応じて算定しているため、学級が減ると教員も減少。開設科目が少なくなり、難関大進学を目指す高校や専門学科が複数ある高校への影響が予想される。[br][br] 下北地区の委員からは、学級数や1校当たりの教員の数にとらわれず、情報通信技術(ICT)を活用した遠隔授業を展開してはどうか―との提言があった。既存の教育方法だけでなく、各地域の実情に応じた環境の整備も必要になりそうだ。[br][br] 県教委は21年2月にも第3回地区意見交換会を開催するほか、パブリックコメントや地区懇談会など県民の意見を聞き取る場も設ける予定だ。[br][br] 過去の計画策定でも統廃合案には地域から強い反発が出た経緯がある。年内策定を目指す県教委は今回も難しい議論を迫られている。