水揚げの魚を自動選別/八戸で実証試験 定置網漁の作業省力化

定置網で取れた魚を自動選別する装置の実証試験=14日、八戸市第3魚市場B棟前岸壁
定置網で取れた魚を自動選別する装置の実証試験=14日、八戸市第3魚市場B棟前岸壁
定置網漁業の深川商会(八戸市、深川修一代表)などは14日、情報通信技術(ICT)を活用し、水揚げした魚を自動的に仕分ける装置の実証試験を市第3魚市場で実施した。多種多様な魚を取る小型船の定置網漁では、これまで水揚げの大部分を手作業に依存して.....
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 定置網漁業の深川商会(八戸市、深川修一代表)などは14日、情報通信技術(ICT)を活用し、水揚げした魚を自動的に仕分ける装置の実証試験を市第3魚市場で実施した。多種多様な魚を取る小型船の定置網漁では、これまで水揚げの大部分を手作業に依存してきた。水産分野で自動選別技術は全国的にも珍しく、作業の効率化により、担い手不足に歯止めをかけることが期待される。関係者は「“八戸発”のシステムの普及を図り、漁業の省力化につなげたい」と力を込める。[br][br] 装置は同市の青森県産業技術センター食品総合研究所(食総研・須藤健児所長)などが開発。画像センサーなどを利用してベルトコンベヤーで運ばれた魚の種類やサイズを判別し、自動でタンクに振り分ける。[br][br] 食総研によると、農業分野で実績のある民間企業の技術を応用。機械学習により魚種判定で90%以上の精度を実現したという。また、各種機材も水産現場に合わせた仕様に改良した。[br][br] 試験では同社の第58日の出丸(19トン)が八戸近海の深久保沖で漁獲した約4・2トンをサケ、スケトウダラ、サバ、ニシン、それ以外に分類。このうち、サケはさらに雄、雌、ブナ(成熟し体色が変わった個体)に分けた。イカは対象から除外した。[br][br] この日は目立ったトラブルがなく、水揚げ後は通常販売された。深川代表は「試験の影響で値段が下がることはなかった」と手応えを話した。[br][br] 試験は本年度末までで、定期的に装置を稼働させてデータを蓄積し、精度向上に取り組む。効果などを記したマニュアルも作成する方針だ。[br][br] 食総研の木村優輝研究員は「実際に装置が常設されれば、従来の半分くらいの人員で対応できると思う」と導入後の効果を説明。深川代表は「人手を融通することが年々厳しくなっている。省力化は不可欠」と担い手不足の解消に期待感を示した。[br][br] 装置の開発は農水省補助の3カ年事業(2018~20年度)で、食総研や水産研究・教育機構(横浜市)、同社などが参画。事業費は約4千万円で、「生産性3割向上」を目的としている。定置網で取れた魚を自動選別する装置の実証試験=14日、八戸市第3魚市場B棟前岸壁