20年産リンゴ販売に停滞感 青森県南地方/全国的な豊作と県産高値反動で

八戸市中央卸売市場で行われた2020年産リンゴの競り。上位等級品以外は動きが鈍い=8日
八戸市中央卸売市場で行われた2020年産リンゴの競り。上位等級品以外は動きが鈍い=8日
青森県が全国一の生産量を誇るリンゴ。2020年産は全国的に豊作基調で他県産の流通量も多く、県南地方では贈答用などの一部を除き、価格が低迷している。輸出が低調なことや、新型コロナウイルスによる外食産業の低迷で加工向け需要が落ち込んでいることに.....
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 青森県が全国一の生産量を誇るリンゴ。2020年産は全国的に豊作基調で他県産の流通量も多く、県南地方では贈答用などの一部を除き、価格が低迷している。輸出が低調なことや、新型コロナウイルスによる外食産業の低迷で加工向け需要が落ち込んでいることに加え、過去2番目の高値を記録した19年産の反動もあって停滞感が漂っており、関係者は今後の動向に気をもんでいる。[br][br] 「長野産のリンゴ、いかがですか」。昨年12月、県南の市場関係者の元に電話が入った。掛けてきたのは“転送屋”と呼ばれる県外の業者。全国の市場データを調べ、余った野菜や果物を足りない市場に回し、需給調整する。市場関係者は「青森にリンゴを売り込むなんて」と、例年にない申し出に驚いたという。[br][br] 20年は全国的に台風などの気象災害が少なかったため、長野や山形、福島など他県産も供給量は潤沢だった。輸出面では、最大の輸出先である台湾で、ニュージーランド産などが秋口まで安値で出回っていた影響で注文が鈍く、市場には余剰感が漂う。[br][br] ここ数年、県産リンゴは全国的な品薄感を背景に“高値安定”で推移してきた経緯があり、県りんご果樹課は「高騰した19年産の反動はある」と指摘する。[br][br] 八戸市中央卸売市場で8日に行われた競売で、1箱(20キロ)の価格は2千~2500円が中心で、平年より1~2割安かった。昨年末には700~800円で取引されたものもあり、卸売会社の担当は「千円を切ることはほとんどなかった。あまりに安くて出荷を控えている農家もいる」と明かした。[br][br] 出荷者側も安値を嘆く。八戸農協の担当者によると、加工用は生食用以上に荷動きが悪い。平年で1キロ35円前後の相場が、年明けは20円台まで下がっているといい、「ジュースの売れ行きが例年より落ち込むなど、新型コロナの影響が出ているようだ」。[br][br] 今後は、2月の中華圏の春節に向けて輸出量が増え、日本国内の流通の大半が県産となる見通しだが、「業者が在庫を大量に抱えている状態で、大幅な需要増は期待できないのでは…」と浮かない表情だった。八戸市中央卸売市場で行われた2020年産リンゴの競り。上位等級品以外は動きが鈍い=8日