時評(1月8日)

菅義偉首相は新型コロナウイルスの感染急拡大を受け、東京都と埼玉、千葉、神奈川3県の首都圏を対象にコロナ特別措置法に基づく緊急事態宣言を発令した。期間は8日から2月7日までで飲食店への午後8時までの営業時間短縮要請が柱。 1都3県の新規感染者.....
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 菅義偉首相は新型コロナウイルスの感染急拡大を受け、東京都と埼玉、千葉、神奈川3県の首都圏を対象にコロナ特別措置法に基づく緊急事態宣言を発令した。期間は8日から2月7日までで飲食店への午後8時までの営業時間短縮要請が柱。[br] 1都3県の新規感染者が全国の約半数を占め、経路不明の感染原因の多くが飲食によることから「より強いメッセージ」を出すべきだと判断した。他に夜間の外出自粛やイベント開催要件の厳格化も求めた。[br] ただ経済への悪影響を懸念する首相はこれまで、宣言の発令に慎重な姿勢だった。今回の方針転換は医療逼迫(ひっぱく)に懸念を示してきた専門家の指摘に加え、1都3県の知事から新年早々に発令の要請を受け、追い込まれて決断した側面が強い。[br] 緊急事態宣言は昨年4月、東京など7都府県を皮切りに全都道府県に拡大して以来、2回目の発令だ。昨春のような小中高校の一斉休校は求めず、16日から始まる大学入学共通テストも予定通り実施するとし、「限定的」な規制を強調している。11日に期限を迎える観光支援事業「Go To トラベル」の全国一時停止は延長する方針だ。[br] トラベル事業の停止も後手に回った形だったが、新年会自粛など「静かな年末年始」を呼び掛けた昨年末の菅首相の記者会見からは、緊迫感が伝わってこなかった。口では「コロナ対策最優先」と言っても、危機意識が伴わなければ首都圏の人出減少などにはつながらない。[br] コロナ特措法の改正に関し、与野党は2月初めの成立を目指す方向性を確認している。政府は飲食店などの時短を実現するため、補償の義務化とともに罰則規定を導入したい考えだが、野党側からは強い罰則に異論が出ている。私権制限に関わるだけに、丁寧な議論が求められる。[br] 2月下旬にも始まる見通しのワクチン接種への期待が高まっている。しかし、頼りすぎては感染防止対策がおろそかになる恐れがある。さらに、1都3県、期間1カ月に限定し、飲食店の営業制限を中心とする今度の対策だけで、感染を食い止められるのかと不安視する声が早くも出ている。[br] 政府と東京都の間では、トラベル事業や飲食店への時短要請を巡り不協和音が表面化してきた。ただ、緊急事態宣言は首相が期間や区域を定めて発令、都道府県知事が具体的な制限内容を決める仕組みだ。国と自治体が協力、連携しないと実効性確保は難しい。英知を結集して収束に向け道筋をつけてほしい。