20年北奥羽地方経済、コロナで大打撃/観光、飲食業界は苦境続く

今年の北奥羽地方の経済は新型コロナウイルスの影響を受け、さまざまな業界に余波が広がった(写真はコラージュ。上から時計回りに、客足が減少した八戸市の繁華街、家計応援企画を展開するユニバースの店舗、青い森信用金庫の本店)
今年の北奥羽地方の経済は新型コロナウイルスの影響を受け、さまざまな業界に余波が広がった(写真はコラージュ。上から時計回りに、客足が減少した八戸市の繁華街、家計応援企画を展開するユニバースの店舗、青い森信用金庫の本店)
2020年の北奥羽地方の経済は、新型コロナウイルスの影響で前例のない打撃を受けた。観光や飲食業界は今も苦境に立たされている。中小企業・小規模事業者の資金繰り支援として、金融機関はコロナ対策の実質無利子・無担保融資を実行した。小売業界は明暗が.....
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 2020年の北奥羽地方の経済は、新型コロナウイルスの影響で前例のない打撃を受けた。観光や飲食業界は今も苦境に立たされている。中小企業・小規模事業者の資金繰り支援として、金融機関はコロナ対策の実質無利子・無担保融資を実行した。小売業界は明暗が分かれ、食品スーパーやホームセンターは“巣ごもり需要”を取り込んだ。地元経済関係者は早期の感染収束を願い、21年も引き続き消費喚起策を講じる。[br][br] 【観光関連・飲食業界】[br] コロナ禍の余波は、政府の要請で学校が臨時休校した3月初旬から顕著に広がった。消費減退が加速し、特に観光関連産業や飲食業界へのダメージは深刻だ。[br][br] 八戸市の調査によると、市内25宿泊施設の延べ宿泊者数は、5~10月の集計で前年同期比34・8%減にダウン。八食センターなど観光施設5カ所の延べ入り込み客数は、6~11月で32・9%減となった。観光支援事業「Go To トラベル」の効果などで徐々に回復傾向にあるが、インバウンド(訪日外国人客)の観光消費はほぼなくなった。[br][br] 飲食業界は宴会利用が激減し、忘新年会シーズンなどの書き入れ時を失った。八戸料飲社交業組合連合会の木村健一会長は「各飲食店はできる限りの感染防止対策を講じている。新年は少人数での会食利用が増えてほしい。お客さまにも対策に協力してもらうことが安心につながる」と話す。[br][br] 【金融機関】[br] 売り上げが急減した事業者の資金繰り支援として、民間金融機関は5月から、政府の制度などを使った実質無利子・無担保融資を実行。青い森信用金庫は11月末時点で、青森県内約1300事業所に計約170億円の新規融資を決定した。[br][br] 今後は事業者の本業支援に注力する方針。4月から取引先の情報を全役職員が共有するシステムを運用しており、蓄積されたデータや情報共有化のメリットを生かし、各取引先に適した支援方法を提案する。益子政士理事長は「システムを活用した新たなビジネスマッチングも含め、事業者の本業の回復へ力を入れていきたい」との考えを示す。[br][br] 【小売業界】[br] 百貨店は催事中止のあおりを受けた一方、スーパーは巣ごもり需要が高まった。ユニバース(八戸市)は21年2月期第2四半期(20年3~8月)の連結売上高が前年同期比5・1%増に伸び、利益面も拡大した。[br][br] 消費者の内食傾向が強まる状況を受け、スーパー各社では生活必需品の価格を下げる動きも。同社は5月から「家計応援」と題した企画を実施し、現在は約500点を値下げしている。[br][br] 総務部の秋葉孝次長は「消費増税やコロナ禍の中、スーパーとしてお客さまの生活を応援したい」と語る。一方、同社は感染リスクを抱えながら働く従業員への慰労や感謝として正月休みを設定。働き方改革も推進し、来年1月1日と2日は全57店舗を休業する。[br][br] 市民の自宅時間が増えたことで、ホームセンターでは園芸用品やDIY用品の売れ行きが好調。サンデー(同市)は21年2月期第2四半期(20年3~8月)決算で、売上高や営業利益などが過去最高を更新した。今年の北奥羽地方の経済は新型コロナウイルスの影響を受け、さまざまな業界に余波が広がった(写真はコラージュ。上から時計回りに、客足が減少した八戸市の繁華街、家計応援企画を展開するユニバースの店舗、青い森信用金庫の本店)