【連載・世界のJOMONへ】第5部(4)次世代へつなぐ

是川縄文館の展示品のガイド音声収録に臨む高橋沙月さん=10月、青森県立八戸東高
是川縄文館の展示品のガイド音声収録に臨む高橋沙月さん=10月、青森県立八戸東高
世界遺産の最大の目的は、人類にとって貴重な資産を未来に残していくこと。「北海道・北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産になれば、知名度が飛躍的に高まると同時に「遺跡を守り続ける」という国際的な責任を負うことを意味する。その約束を果たすために次世.....
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 世界遺産の最大の目的は、人類にとって貴重な資産を未来に残していくこと。「北海道・北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産になれば、知名度が飛躍的に高まると同時に「遺跡を守り続ける」という国際的な責任を負うことを意味する。その約束を果たすために次世代の人材を育てる取り組みが不可欠だ。[br][br] 縄文遺跡群のある各自治体では、子どもたちが遺跡に親しみを持ち、地元の資産を誇りに思えるような、さまざまな体験メニューやイベントを企画している。[br][br] 八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館は今月、音声で展示品の解説をするスマートフォン向けアプリの運用を開始した。その音声を担当したのが青森県立八戸東高放送部の高橋沙月さん(3年)と工藤心響さん(2年)。2人は10月から「是川はこれからも大切にすべき遺跡。来館者はもちろん、友人や家族にガイドを聞いてほしい」と心を込めて収録に臨んだ。[br][br] アプリは東京の民間会社が開発したもので、全国の博物館など約80施設が導入。是川縄文館の小久保拓也主幹(44)が、地元の高校生に関心を持ってほしい―との思いから、学校側に依頼し、実現した。[br][br] 収録に当たって2人は是川遺跡の特徴などを学習。収録では、「出土品」や「堆積」など普段はあまり使わない単語の発音に苦戦しながらも、練習を重ねて丁寧に仕上げた。[br][br] 工藤さんは「原稿を読んで自分も縄文に興味を持った。遺跡の価値を広める一助になれたら」、高橋さんも「遺跡というと敷居が高いイメージがあるが、地元を知るためにもぜひ行ってみてほしい」と強調した。[br][br] 同館ではほかに、小中学生を対象とした考古学クラブを開催。子どもたちは発掘体験や土器の観察などを通じて、縄文に理解を深めている。小久保主幹は「考古学クラブをきっかけに、子どもたちが将来、ボランティアガイドや学芸員を目指してほしい」と期待を込める。[br][br] 県も2019年度から、若い世代が県内の文化財に触れる機会を設けるため、「高校生縄文案内人養成事業」を展開。県内の高校生がガイド体験などを通して縄文遺跡などの文化財の価値を学び、成果発表会を開いている。[br][br] 県世界文化遺産登録推進室の岡田康博室長は、遺産を守り、次世代につなぐさまざまな取り組みについて、「子どもたちが古里にある文化遺産の価値を知る貴重な機会。その子どもたちの中から将来、遺跡を保存・活用する担い手が誕生したら、これほどの喜びはない」と強調する。是川縄文館の展示品のガイド音声収録に臨む高橋沙月さん=10月、青森県立八戸東高