日本銀行青森支店は14日、青森県内の12月期の企業短期経済観測調査(短観)を発表した。企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、全産業で前期調査(9月期)より9ポイント上向き、マイナス6となった。世界的な経済活動の再開で輸出や生産が回復。自動車や電気機械など製造業で上向き、2期連続の改善となった。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大前の水準には届かず、再拡大への懸念から先行きへの不透明感も強い。[br][br] DIは業況が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を差し引いた数値。調査は11月11日~12月11日に183社を対象に実施し、181社が回答した。[br][br] 前期調査からこれまで県内では、10月に弘前市で大規模クラスター(感染者集団)が発生し、11月中旬に落ち着いた。その後は散発的発生だったが、12月に入り再び感染が広がっている。[br][br] 業種別では製造業がマイナス4(前期比17ポイント増)と感染拡大前の水準に回復。電気機械はスマートフォンや自動車用部品が好調で31(39ポイント増)、鉄鋼は中国の産業機械向けの部材で動きがあり、33(66ポイント増)だった。食料品では内食需要を取り込んでマイナス23(8ポイント増)となった。[br][br] 非製造業はマイナス7(4ポイント増)。小売りは客足の持ち直しで25(25ポイント増)、宿泊・飲食サービスは政府や自治体の需要喚起策が下支えしてマイナス67(33ポイント増)と改善。一方、卸売りは顧客の設備投資が低調などの理由でマイナス12(16ポイント減)と落ち込んだ。[br][br] 次期(来年3月)DIは、全産業で今期比12ポイント減のマイナス18。先行きを懸念する企業が大半を占める。[br][br] 森本喜和支店長は「新型コロナは対面サービスへの打撃が大きいため、非製造業の改善が遅く、全体に響いている」と分析。今後については「再拡大の懸念はあるが、コロナに対応した前向きな設備投資の動きがあり、注目していきたい」と述べた。