来年2月17~20日の「八戸えんぶり」を巡り、長者山新羅神社の柳川浩志宮司は6日、八戸市内で開かれた八戸地方えんぶり連合協議会の総会で、初日に執り行う「奉納摺(ず)り」と「長者山稲荷大神御神輿(みこし)渡御式」の二つの神事を中止する方針を明らかにした。全国的な新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえた措置。一方、市中心街でえんぶり組が競演する「一斉摺り」は、主催団体の八戸地方えんぶり保存振興会が引き続き開催する方向で検討を進める。[br][br] 10月下旬に開かれた保存振興会の総会では、各団体が八戸えんぶりを例年通り開催する方向性を確認。ただ、感染状況によって行事内容の変更が必要になった場合は、その都度協議することを申し合わせていた。[br][br] 同神社は11月下旬に役員総代会を開き、八戸えんぶり初日に行われる奉納摺りと、長者山から八戸市庁まで神輿を渡御する御神輿渡御式の神社行列の中止を決定。6日の連合協議会の総会で、各えんぶり組の代表ら関係者に説明した。[br][br] 非公開の総会後、取材に応じた柳川宮司は「全国的に感染が広がっており、観光客も含めて人が密集するのは危険性があると判断した」と理由を明かした。[br][br] 奉納の順番や一斉摺りの場所を決めるため、各えんぶり組が夜を徹しながら長者山に入る「順番取り」も取りやめとなる。同神社は御神輿渡御式の「中止奉告祭」を執り行う予定。[br][br] 神社側の決定を受け、保存振興会は奉納後に長者山で行われる「えんぶり撮影会」を中止するが、一斉摺りは開催する方向で協議を進める。今年の一斉摺りには33組が参加していた。[br][br] 連合協議会が11月に実施したアンケートでは、来年は26組が参加するとの回答を寄せている。奉納の中止に伴い、保存振興会は12月14日までに再度、一斉摺りへの参加意向を調査し、来年1月中旬の感染状況を踏まえて最終判断する方針。[br][br] 取材に対し、各組の関係者からは「どうすれば参加できるかを考えたい」「練習場所での『3密』対策や練習方法が心配」「子どもの感染防止が重要になる」などの声が聞かれた。[br][br] 連合協議会の大館恒夫会長は「いかにすればリスクを避けられるのか探りながら、コロナに打ち勝って伝統のえんぶりを続けていきたい」と強調。保存振興会の塚原隆市会長は「一斉摺りの開催を前提とした議論をしている。来年も市民の皆さんに八戸えんぶりを見てもらいたい」と話した。