立憲民主党と国民民主党の合流を受け、青森県にも新しい立民の組織が誕生した。当面の課題は、1年以内に実施される次期衆院選への対応だ。自民党1強の県内で有権者の有力な選択肢となり得るか。社民党県連も合流を目指しており、組織の基盤固めが急務となる。[br] 新しい組織ではあるが、主要メンバーのほとんどが旧民主党、旧民進党の流れをくみ、顔ぶれは新鮮さに欠ける。所属県議は4人と規模では自民に到底及ばない。一方、これまでの政治的な経験値をプラスの材料と捉えることもできよう。有権者の負託に応えられず下野した過去を教訓として、信頼を勝ち取る努力を続けなければならない。[br] それには共感を得られる政策が欠かせない。次期衆院選では新型コロナウイルスで打撃を受けた社会経済をどう回復させるかが争点の一つとなる。苦しんでいる市井の声に耳を傾け、自民との対立軸が明確な政策の立案に取り組む必要がある。[br] 原発ゼロ社会の早期実現を掲げる党の原子力政策を巡っては県連内で意見の相違がある。県内には原発のほか核燃料サイクル施設が立地し、関連の仕事を受注する商工関係者は多い。賛否の二項対立にとらわれず、この難題に正面から向き合い主張を展開するべきだ。[br] 挙党体制の構築は、何より重要だ。参院議員の田名部匡代氏と次期衆院選青森3区公認候補の山内崇氏が県連の共同代表に就いた。その選出協議の過程で、旧立民と旧国民が主導権争いを繰り広げた。共同代表制導入は、融和を優先した結果であると同時に「妥協の産物」という側面も持つ。[br] 国政与党当時の旧民主県連でも国政選挙のたびに組織のほころびが露呈した。結束力の乏しさは長年の課題とも言えるが、同じ過ちを繰り返してはならない。一枚岩にならなければ、盤石な支持基盤を持つ自民には太刀打ちできない。[br] 野党共闘の行方も注目される。立民から元職の升田世喜男氏が立つ青森1区は、共産党も候補者を擁立しており、現状では非自民票の分散が避けられない。共闘の行方は党本部の意向に左右されるが、野党第1党の県組織として、協議の主導を模索する。[br] 候補者を見つけられない状況にある青森2区の対応も重要になる。不戦敗となれば、2区が地元である田名部氏の求心力にも影響しかねない。政治決戦に向け、有権者に戦う姿勢をアピールすることができるか。新組織の真価が問われる。