「カット野菜」生産に活路 水田から畑へ転換、青森県推進

カット野菜の生産振興に向け、最新農機の技術を紹介した研修会=11月上旬、三沢市
カット野菜の生産振興に向け、最新農機の技術を紹介した研修会=11月上旬、三沢市
青森県は本年度、水田から畑に転換した土地を活用し、加工・業務用の「カット野菜」の生産振興に力を入れている。サラダや鍋料理などに使われるため需要は高く、大手業者との契約販売による生産者の収益安定化を期待する。一方、畑に転換し、生産体制を整える.....
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 青森県は本年度、水田から畑に転換した土地を活用し、加工・業務用の「カット野菜」の生産振興に力を入れている。サラダや鍋料理などに使われるため需要は高く、大手業者との契約販売による生産者の収益安定化を期待する。一方、畑に転換し、生産体制を整えるには排水機能の改善や出荷先の確保など多くの課題がある。生産者には高いハードルだが、県は「収入対策として生産者への浸透を図りたい」と意気込む。[br][br] 農林水産省によると、近年の生活形態の変化に伴い、小売店で販売するサラダなど総菜類を持ち帰って食べる食事形態「中食」や「外食」の需要が拡大している。今後の需要の高まりを見据え、県は中食と外食向けのカット野菜の生産に活路を見いだしたい考えだ。[br][br] カット野菜は、単価が市場に左右されない契約販売ができるのが特長。19年産の野菜は全国的な供給過多で安値に苦しんだが、契約販売は収穫前に価格を決めており、出荷後に買い取られる市場に影響されない。[br][br] 水田から畑への転換を後押しするため、県は交付金制度を設けている。20年産の交付金単価は10アール当たり4万5千円。契約を結んだ場合はさらに2万7千円が上乗せされる。ただ、交付要件は作付面積を年度内に24アール以上広げた際に限るため、条件が厳しいのが現状だ。[br][br] 県は4日、三沢市でカット野菜の生産拡大に向け生産技術研修会を開催。キャベツを生産する畑10アールを使い、最新の農機を活用した排水対策や収穫の省力技術を関係者へ紹介した。[br][br] この畑を管理する同市の農業法人「フラップあぐり北三沢」は、飼料用米を生産する傍ら、一部で野菜の生産に取り組む。[br][br] 畑に転換する前の水田は水はけが悪かった土地。担当の石澤雅志農場長は「一度の台風で全て駄目になったり、水がたまって作物の根が腐ったりした。試行錯誤を繰り返すしかない」と受け止める。[br][br] 大手業者との契約販売も簡単には成立しない。研修会に出席した農協関係者は「ここ最近は出荷量が伸び悩んでいる」と打ち明ける。出荷規格はスーパーや小売店で売る生鮮野菜より低いが、品質劣化が目立てば契約を失う恐れがある。大手量販店との契約が解消される時も度々あるという。[br][br] 県が設定する本年度中の目標は、野菜用の作付面積の拡大分が100ヘクタールで、うち契約販売分は20ヘクタール。県農産園芸課の担当者は「コメから野菜への転作を促進し続けてきた。水田経営する生産者の手取りを向上させる一つの策として定着させたい」と展望を示した。カット野菜の生産振興に向け、最新農機の技術を紹介した研修会=11月上旬、三沢市