脳疾患、復帰後後押し 患者への運転支援強化/総合リハビリ美保野病院

脳梗塞を乗り越え、慎重に自家用車のハンドルを握る佐藤公子さん(仮名)=14日、八戸市 
脳梗塞を乗り越え、慎重に自家用車のハンドルを握る佐藤公子さん(仮名)=14日、八戸市 
八戸市の総合リハビリ美保野病院(廣田茂院長)が、脳血管疾患患者向けに自動車運転を支援する「運転再開支援プログラム」を強化している。2014年の道交法改正で、脳疾患後の運転再開には主治医の診断書と運転免許試験場での適性検査が必要となった。症状.....
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 八戸市の総合リハビリ美保野病院(廣田茂院長)が、脳血管疾患患者向けに自動車運転を支援する「運転再開支援プログラム」を強化している。2014年の道交法改正で、脳疾患後の運転再開には主治医の診断書と運転免許試験場での適性検査が必要となった。症状が改善した患者が通勤や通院、買い物などの移動手段として自動車を必要とするケースは多い。患者の不安解消と社会復帰を後押しすべく、同院の「自動車運転支援部」がその要望に応えている。[br][br] 同プログラムでは、後遺症のリハビリに取り組む患者に、運転に必要な注意力や記憶力、空間把握力などの高度な脳機能検査、教習所での実車評価を受けてもらい、医師と作業療法士らスタッフと自動車教習所が連携して運転可否を判断する。同院では15年から取り組みを開始した。[br][br] 患者は文字の書き取りや図形の記憶など、さまざまな課題を解く訓練を行い、高次脳機能評価と実車評価に臨む。不合格の場合は、また3カ月間、課題に取り組み再試験する。取り組みを始めてから、延べ約160人が試験をパスした。[br][br] 現在のところ、合格者が事故を起こしたケースはない。運転開始後も患者が希望すればその都度検査を受けることができるなど、万全の態勢を整える。[br][br] 「倒れる2日前から言葉が出づらくなって。でも、ちょっと寝れば治ると…」。同市岬台の佐藤公子さん(48)=仮名=は昨年8月、脳梗塞で倒れ、八戸赤十字病院に運ばれた。約2週間入院し、点滴などの治療を受けたが、「手足は動くのに、起き上がろうとしたらベッドから落ちてしまって」。手足に軽度のまひが残ったほか、認知機能の低下が認められた。[br][br] その後、美保野病院リハビリテーション科に移り、約4カ月入院。その際は同時に二つのことができなくなり、特に料理に手こずった。「一時退院した時、いつもできていた料理に大失敗して…」と振り返る。[br][br] 退院後も通院し、約1年間、地道なリハビリを行った。中学1年の娘がおり、送り迎えや買い物など、発症前は自動車が生活に欠かせなかったため、何とか自動車を運転できるようになりたいと、課題に取り組んだ。今年夏ごろには徐々にこなせるようになり、高次脳機能評価と教習所での実車評価もパス。試験場での検査も合格し、8月から自家用車で運転できるようになった。[br][br] 運転は自宅と病院の往復がメイン。当初は運転中に同乗者との会話ができず、カーラジオすらかけられなかったが、通院を続けリハビリや課題を解く度に回復。10月に入ってからは徐々に会話もできるようなった。「少し怖い部分もあるが、慎重に運転していれば大丈夫という余裕も出てきた」と笑顔を見せる。[br][br] 廣田院長は「人間の脳の回復能力は計り知れない。ぜひリハビリを頑張ってもらい、運転ができるまでの手助けや、定期的な検査を行って見守っていきたい」と話している。脳梗塞を乗り越え、慎重に自家用車のハンドルを握る佐藤公子さん(仮名)=14日、八戸市