国連教育科学文化機関(ユネスコ)が、新型コロナウイルスの影響で延期した2020年の世界遺産委員会を21年6~7月に開き、21年分もまとめて審議する方向で調整に入った。21年分であり文化遺産の候補の「北海道・北東北の縄文遺跡群」(北海道、青森、岩手、秋田)も審査される見通しだ。政府関係者が28日に明らかにした。[br][br] 20年に予定されていた「奄美大島、徳之島、沖縄島(おきなわじま)北部および西表島(いりおもてじま)」(鹿児島、沖縄)の自然遺産登録も審査される。約1年遅れとなる。[br][br] 関係者によると、21カ国で構成する委員国間での意見調整を経て、来月上旬にも最終決定する。一括開催の場合、中国・福州で行われる可能性が高い。ユネスコは来夏までには新型コロナの感染拡大が一定程度収まっていると期待する。2年分の審議については、委員会は登録可否を巡って紛糾することも多く、十分な審議時間が確保できるかどうかが課題だ。[br][br] 縄文遺跡群は、三内丸山遺跡など縄文時代の集落跡や貝塚、祭祀(さいし)に関わる遺跡で構成される。ユネスコ諮問機関の調査員が先月、現地調査を行った。先史時代に高度な精神文化があったことを示す点で国際的な価値があるとされる。20年の委員会延期で21年の審査の先送りが懸念されていた。[br][br] 奄美・沖縄は、島々に点在する広大な森林に多くの絶滅危惧種が生息しており、生物多様性の極めて豊かな地域として、国内外から高い評価を得ている。 20年の委員会は当初、中国・福州で6月29日~7月9日の日程だった。