JR八戸駅西口の通年型リンク「フラットアリーナ」は、今春のオープンから半年が過ぎた。地元氷上競技関係者にとっては、老朽化に伴って今年3月に閉鎖された田名部記念アリーナに代わる練習、試合などの会場として有効活用への期待が大きいが、時間帯によっては地元公営リンクの2・5倍にもなる貸し切り料金などがネックとなり、利用が伸び悩んでいるという。実にもったいない話だ。[br][br] フラットは、アジアリーグアイスホッケーの東北フリーブレイズ運営会社の関連会社・クロススポーツマーケティング社が整備した。用地は、駅西口周辺のにぎわい創出に向けた都市計画の一環として、八戸市が同社に30年間、無償貸与している。[br][br] 施設はブレイズの新たな本拠地となり、選手たちが白熱の戦いを繰り広げている。移動式の床を設置すれば、氷上競技以外のスポーツや文化活動などの多目的利用が可能で、最近は地元中学校の合唱コンクール会場ともなった。[br][br] 競技利用向けとしては、市が地元団体の利用時間確保のため、年間営業時間の3分の1に当たる2500時間分について、1億1千万円を拠出して借り上げている。各団体は1枠(1時間半)当たり2万6895円をフラットに支払い、練習時間などに充てている。[br][br] 市借り上げ時間帯の利用料は、旧田名部記念アリーナより約1万円安く設定していることもあって、利用率(今年5~8月)は62%と、公営のテクノルアイスパーク八戸などと比べても健闘しているといえよう。[br][br] 一方、借り上げ以外の時間帯は、同時期の利用率が2割を下回ったという。もちろん、オープン以来の新型コロナウイルス感染症の影響は否定しないが、平日で1枠6万6千円、土日祝日には同7万円超に跳ね上がる貸し切り料金も要因の一つだろう。民間施設とはいえ、これだけ料金が違えば、競技団体が敬遠するのも致し方ない。[br][br] 利用が順調に見える市借り上げ時間帯にも、競技団体の不満がくすぶる。長期休暇期間を除けばジュニアチームすら利用が難しい平日の日中の設定が多いためだ。市は競技団体のニーズをどれだけ把握してフラット側と協議し、借り上げ時間帯を決めたのか、疑問に感じる部分もある。[br][br] どんな立派な施設も利用されてこそ。利用低迷で撤退されてしまっては地域の損失だ。住民がもっと利用しやすい環境の整備へ、行政、フラット、競技関係者は汗を流してほしい。