【連載・決断の行く末 動き出す高レベル処分地選定】(4・完)類似

経済産業省幹部から文献調査実施の申し入れ書を受け取る高橋昌幸村長(左)=9日、北海道神恵内村
経済産業省幹部から文献調査実施の申し入れ書を受け取る高橋昌幸村長(左)=9日、北海道神恵内村
高レベル放射性廃棄物最終処分場選定の文献調査応募に向けた北海道寿すっ都つ町ちょうと神恵内かもえない村の動きに、ある青森県議は「まるで数十年前の青森を見ているようだ」と語る。 1965年、東通村議会が原発誘致を決議。76年には大間町商工会が町.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 高レベル放射性廃棄物最終処分場選定の文献調査応募に向けた北海道寿すっ都つ町ちょうと神恵内かもえない村の動きに、ある青森県議は「まるで数十年前の青森を見ているようだ」と語る。[br][br] 1965年、東通村議会が原発誘致を決議。76年には大間町商工会が町議会に原発新設のための環境調査実施を請願した。[br][br] 東通の誘致決議から約20年後、六ケ所村のむつ小川原開発地区で核燃料サイクル施設を建設する構想が浮上。当時、六ケ所では石油コンビナート構想が立ち行かなくなっていた。[br][br] 困窮する地方が経済的な理由を背景に、原子力施設立地に向けた調査を望み、受け入れていく経緯は両道県で似通う。[br][br]   ■   □[br] 「(寿都と神恵内は)これから六ケ所と同じように地域を割るような状況になるだろう」。六ケ所村のある関係者は北海道2町村の先行きを案じる。[br][br] 六ケ所では、大規模開発、そして核燃サイクル立地の是非を巡って集落内、親戚同士での対立が激化。地域が分断された歴史は、今も中高年層の村民の記憶に強く刻まれている。[br][br] 既に寿都にも分断の影は忍び寄っている。[br][br] 反対派の中井隆夫さん(72)は「(片岡春雄)町長は独裁的になっている。文献調査をやめさせるにはリコール(解職請求)するしかない」と強調。町長の信を問うために闘う姿勢を崩さない。[br][br] 一方、町内で商店を営む女性は「賛成の人とも反対の人とも付き合いがある。自分の意見は表に出せない」と複雑な心境を漏らす。[br][br] 町長が応募表明する直前の8日未明、町長宅に火炎瓶が投げ込まれる事件が発生した。賛否を示せば自分にも被害が及ぶのではないか―。そんな不安から女性は口をつぐんだ。[br][br]   □   ■[br] 2007年に応募表明した高知県東洋町は激しい住民運動の末、応募の是非が争点となった町長選で反対派の候補が勝利。応募した町長は国や事業者の支援も得られず、反対派の勢いに飲み込まれていった。[br][br] 六ケ所の戸田衛村長は「最終処分場は国の責任の上で、国民全体で解決しなければならない問題だ」と、国の主体的な関与の必要性を訴える。[br][br] 北海道2町村の文献調査は11月中旬にも始まる。次の段階である概要調査に進むには、知事の同意が必要だが、現時点で鈴木直道道知事は反対の意向を示している。[br][br] 10月9日、神恵内の高橋昌幸村長が国からの文献調査実施の申し入れを受諾表明する1時間前、村役場近くの飲食店では、高齢の男性が店主と語らっていた。[br][br] 店主から表明会見の話を聞いた男性はため息交じりにつぶやいた。「どっちにしても大変な決断だよなあ」。その言葉は、処分場選定の行く末が多難であることを物語っていた。経済産業省幹部から文献調査実施の申し入れ書を受け取る高橋昌幸村長(左)=9日、北海道神恵内村