青森県内に住む10~15歳の子ども7765人のうち、13・6%に当たる1032人に抑うつ症状が観察されたことが、弘前大大学院保健学研究科の足立匡基准教授(36)らの研究で分かった。思春期にうつ病を発症すると、その後も症状が継続する例が多い一方で、子どもたちの心の健康状態を調査した例は少ない。足立准教授は「子どもたちの心の健康状態を定期的に把握し、支援につなげたい」と意欲を示している。[br][br] 調査は2019年9月、小学4年から中学3年の子ども8003人を対象にアンケート形式で実施。このうち男子3850人、女子3915人から回答が得られた。[br][br] うつ症状の判断には国際的な評価尺度を使用。「気分が落ち込む」「物事を楽しめない」などの質問9項目について、1週間のうち「全くない」「数日」「半分以上」「ほとんど毎日」のいずれかで回答を求めた。選択肢にはそれぞれ0~3点が割り振られ、最大27点となる合計点数が高いほど抑うつ症状が重症であると評価した。[br][br] その結果、回答した子どものうち、0点は21・6%、4点以下は63・4%と、うつ症状があまり見られなかった一方で、うつ症状が疑われる10~27点の子どものうち、やや重度のうつ症状(15~19点)は3・4%、重度のうつ症状(20~27点)は1・5%だった。[br][br] さらに、1週間のうちに自殺や自傷行為について考えたことがあるかという質問に対し、考えたことがあると回答したのは1263人、16・2%。最も頻度が高い「ほとんど毎日」は188人、2・4%だった。[br][br] 足立准教授は「うつ症状があったり、自殺念慮を持っていたりする子どもがこれほど存在することについて、一般の人の意識と乖離かいりがある」と指摘。調査でうつ症状が見られた子ども全員がうつ病と診断されるわけではないが、「意識の乖離があると、うまく支援する仕組みができない。実際に回答した子どもがいることを受け止めてほしい」と訴える。[br][br] 厚生労働省の自殺に関する統計では、成人の自殺率は減少傾向にある一方、子どもの自殺率に減少は見られないという。足立准教授は「大人への支援は、子どもには功を奏していないのかもしれない。対策が機能しているかどうか確認する上でも、調査を行って数字で残すことが重要だ」と強調する。