輸出用日本酒向け酒米管理に本腰/二戸の生産者

輸出用の「輸酒」の表示を付け、他のコメと区分して倉庫で管理している=16日、二戸市
輸出用の「輸酒」の表示を付け、他のコメと区分して倉庫で管理している=16日、二戸市
新型コロナウイルスの影響で日本酒の国内外での需要が減少する中、二戸市内で酒造好適米「ぎんおとめ」を手掛ける生産者が、輸出用日本酒の原材料となる酒米生産の管理に取り組んでいる。国が本年度新たに追加した輸出用酒米に対する交付金を受けるため、酒造.....
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 新型コロナウイルスの影響で日本酒の国内外での需要が減少する中、二戸市内で酒造好適米「ぎんおとめ」を手掛ける生産者が、輸出用日本酒の原材料となる酒米生産の管理に取り組んでいる。国が本年度新たに追加した輸出用酒米に対する交付金を受けるため、酒造会社や農協など関係団体と連携し、生産から出荷までの一連の作業で他のコメと区別する体制を構築した。今後は農産物の安全管理に関する基準を定めた国際規格「グローバルGAP」の申請も視野に、地域一体で酒米振興に力を注ぐ。[br][br] 新型コロナ対策で農林水産省は本年度、新たに輸出用日本酒の原材料となる酒造好適米を経営所得安定対策交付金の対象に追加した。ただ、申請には検査や保管など一連の工程で他のコメと区分して管理する必要があり、生産者のみの取り組みでは条件を満たすことが難しかった。[br][br] このため、同市の酒米研究会の五日市亮一会長ら生産者が、地元の農協や酒造会社「南部美人」などと連携して他のコメと区分して管理をする体制づくりに着手。市内14人が生産する31ヘクタールの2割に当たる6・8ヘクタール分を輸出用として管理し、計270万円の交付を受けることとなった。市によると、輸出用酒米で同交付金を受けるのは東北地方で初めてという。[br][br] 全国的には日本酒の消費減で、原料の酒造好適米の産地に影響が出ている。作付面積を減らし、他の作物へ変更を余儀なくされる農家もあるというが、南部美人の久慈浩介社長は「他の作物に転作した後に、また『ぎんおとめ』に戻してほしいと言っても、戻すのには時間を要する。コロナ後を見据えて生産者を支援していきたい」と話し、全量を買い取る意向を示す。[br][br] 五日市会長は「コメの概算金は下がったが、交付を受けることで生産者にとっていくらか補塡(ほてん)になり、来年以降の生産意欲にもつながる」と強調。来年秋のグローバルGAPの取得を目指しており、「生産者としてコメの管理を明確に説明できるようにして、日本酒輸出に貢献したい」と述べた。 輸出用の「輸酒」の表示を付け、他のコメと区分して倉庫で管理している=16日、二戸市