天鐘(10月11日)

ババ抜きでは嫌われる。大富豪では革命に一役買う。トランプの「ジョーカー」はどの絵柄にも属さない。カードに描かれる中世の宮廷道化師は、自由な言動が認められた特別な存在。見方によっては最強である▼広く親しまれるカードゲームだが、トランプと呼ぶの.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 ババ抜きでは嫌われる。大富豪では革命に一役買う。トランプの「ジョーカー」はどの絵柄にも属さない。カードに描かれる中世の宮廷道化師は、自由な言動が認められた特別な存在。見方によっては最強である▼広く親しまれるカードゲームだが、トランプと呼ぶのは日本だけ。英語では「切り札」を意味する。読者の皆さまは既にお気付きだろう。一挙手一投足を世界が注視する大国・アメリカの型破りな大統領である▼格差の拡大で閉塞(へいそく)感が漂い、中国の台頭で国際社会における存在感は低下。現状打破へ打ち出した極端な保護主義政策は賛否両論を巻き起こしながら、疲弊した中間層に火をつけて「トランプ現象」を生み出した▼下馬評を覆して権力の座に就いたのは4年前。「強さ」を希求し「勝ち」に執着する自国第一主義で、国境や貿易に“高い壁”を築く。時に現実路線を模索しつつ一貫して攻撃性と非同調性を見せつけた▼郵便投票も刺激的な扇動も、時を経て迎えた異様な大統領選である。世界最多の感染が国のトップと政権中枢ものみ込んで、選挙戦はコロナ一色。トランプ氏は近く戦列に復帰し、バイデン氏と再び対峙(たいじ)する▼投票日まで3週間余り。2回目の討論会は中止になったが、せめて“偉大な国”の論争を望みたい。ジョーカーは切り札か、それとも負け札か。注目のカードをアメリカ国民が行使するのは11月3日。