【高レベル最終処分場・調査応募表明】国民的議論につなげられるか

むつ小川原港から搬入される高レベル放射性廃棄物の輸送容器=2016年10月、六ケ所村
むつ小川原港から搬入される高レベル放射性廃棄物の輸送容器=2016年10月、六ケ所村
高レベル放射性廃棄物(核のゴミ)の最終処分場選定の第1段階に当たる文献調査に、北海道の寿都町と神恵内村が進む方向となった。特定放射性廃棄物最終処分法が制定されてから20年。選定手続きはようやく緒に就くが、核のゴミを受け入れ難いとする道条例を.....
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高レベル放射性廃棄物(核のゴミ)の最終処分場選定の第1段階に当たる文献調査に、北海道の寿都町と神恵内村が進む方向となった。特定放射性廃棄物最終処分法が制定されてから20年。選定手続きはようやく緒に就くが、核のゴミを受け入れ難いとする道条例を踏まえ、鈴木直道道知事が反対の意向を示すなど前途は多難だ。今後は、両町村によって盛り上がった機運を維持しつつ、国民的議論につなげられるかどうかが焦点となる。[br][br] 2007年に高知県東洋町が文献調査に応募した際、町民は「町長が独断で応募した」と激しく反発。応募の是非を問う住民投票の様相となった町長選で反対する候補が勝利した経緯は、処分場立地での合意形成の難しさを物語っている。[br][br] 寿都でも既に反対の声が上がっている。合意形成の仕方を誤れば、町を二分する争いが起きかねない。地域の声にどこまで向き合えるか。国や事業主体である原子力発電環境整備機構(NUMO)は地元任せにせず、丁寧な対話活動を行う必要がある。[br][br] 一方で、処分場の安全面を考えると、より安定した地盤を見つける上で2カ所の調査だけでは心もとない。両町村が適地でない可能性もある。選定の歩みを止めないためには、多くの自治体が手を挙げる機運を醸成しなければならない。[br][br] 17年の科学的特性マップの公表時は、全国的にメディアで取り上げられたが、「半年程度で関心は持たれなくなった」(廃棄物の専門家)。寿都の片岡春雄町長が「この輪を全国に広げていくことが大事だ」と強調するように、国やNUMOは議論を全国に展開する方策を示すべきだ。[br][br] 六ケ所村に海外から初搬入された高レベル廃棄物の青森県外への搬出期限は25年を切った。新たな核のゴミを生み出す使用済み核燃料再処理工場(同村)は22年度上期の完工目標に向け工事が進む。[br][br] 国はことあるごとに処分地問題で「前面に立つ」と言い続けてきた。今回の好機をうまく活用できなければ、再処理工場の操業にも影響を及ぼしかねないと肝に銘じ、全力を挙げて選定作業に取り組む必要がある。むつ小川原港から搬入される高レベル放射性廃棄物の輸送容器=2016年10月、六ケ所村