天鐘(10月7日)

仏教の教えの中には人間が守るべきものとしての決まりが多くあり、それに反する10の罪を「十悪」と呼ぶ。その中でも言葉を発することによる罪が四つあるとされる▼「妄語」はうそ偽り、「綺語」は無意味、無益な言。「悪口」は他人を傷つける言葉、中傷で、.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 仏教の教えの中には人間が守るべきものとしての決まりが多くあり、それに反する10の罪を「十悪」と呼ぶ。その中でも言葉を発することによる罪が四つあるとされる▼「妄語」はうそ偽り、「綺語」は無意味、無益な言。「悪口」は他人を傷つける言葉、中傷で、「両舌」とは人の仲を裂く発言らしい。いずれにせよ「口は災いの元」。自らの言動には十分に気をつけよという戒めだろう▼ありがたい教えに加え、コロナ禍でのマスクに塞がれながらも、口からさまざまな「悪」が飛び出す人はいるようだ。自民党の杉田水脈衆院議員。「女性はいくらでもうそをつけますから」が波紋を広げている▼まずわが耳を、そして、ご本人の人権意識を疑った。性暴力の被害者に「うそつき」の暴言である。一度否定するも一転、ブログで謝罪。だがその内容がまた、子供のようだと批判されている▼「発言したことを確認しました」と他人事。国会議員にして、自分の言ったことを誰かに聞かなければ分からないのだろうか。「だったら結婚しなくていい」で以前にも世を騒がせた。どうにも軽いこのお方、舌禍のドタバタが絶えぬ▼〈自ら笑う/平生/口のために忙なるを〉。口が災いして数々の騒ぎを起こしたことが自分でもおかしいと、宋代の詩人・蘇軾は残す。既にこちらは笑えぬレベル。今も昔も困ったことに「口のために忙」なる人が多い。