八戸市立屋内スケート場「YSアリーナ八戸」は、2019年9月のオープンから1年が経過した。スピードスケートの世界大会も開催可能な国内3カ所目の屋内リンクでは、昨季、全日本距離別選手権などの大会を開催。供用開始から1年間の来館者数は約18万人に上った。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大による影響もあり、多目的アリーナとして活用する期間で大きな収入源となるイベント利用はゼロ。市財政の重荷となる維持管理費も当初見込みより膨らんでおり、これら課題の解決に向けた対応が急務となっている。[br][br] 施設は昨年6月に完成し、9月29日に供用開始となった。毎年7月から翌年3月までは製氷し、各種大会の会場や選手の練習場、愛好者の憩いの場に。4~6月は製氷せず、多目的アリーナとして、コンサートや展示会、バスケットボールなどの会場となる。 [br][br] 施設では開館1年目の製氷期間、大規模大会として19年10月に全日本距離別選手権、今年1~2月に国体冬季スケート競技会の会場となった。両大会の期間中は選手や監督のほか、大勢の観客が来館。大会に伴い、市内の飲食、宿泊業者らにも恩恵があったとされ、市は両大会の開催で計約10億円の経済効果が出たとの試算を示す。合宿は県内外の19団体を受け入れた。[br][br] 新型コロナの影響で、4月10日から5月25日は休館となったものの、多目的アリーナとして活用する期間にも、フットサルなどのコートとなる中地の利用者や、施設2階のホワイエ、3階の交流サロン、会議室を活用する市民が訪れ、開館から1年間での来館者は計18万832人に上った。[br][br] ただ、新型コロナの感染拡大前から、コンサートなどの興行や大規模イベントなどで活用される機会はなく、予約もゼロ。今後、施設をいかに活用してもらうか、アピール方法などの課題が浮き彫りとなった。[br][br] 一方、運営面に関しては、光熱費が当初見込みより膨張。市の本年度予算では、維持管理費として見込みより1億円多い3億円を計上しており、市財政の圧迫要因となる維持管理費をいかに縮減するかも課題に上がっている。[br][br] 開館から2年目に入った氷都・八戸のシンボル施設。今後の運営について河原木実副館長は「使ってもらってこその施設。コロナ禍でも強制換気能力があることをアピールするなど、より多くの方に活用してもらえるようさまざま工夫していきたい」と強調する。