時評(9月30日)

公明党は先の党大会で山口那津男代表(68)の7選を承認し、新たに幹事長に石井啓一氏(62)、政調会長に竹内譲氏(62)の就任を決めた。安定と世代交代双方を狙った新体制のスタートは、菅義偉首相による新内閣の始動期と重なった。 山口代表は菅内閣.....
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 公明党は先の党大会で山口那津男代表(68)の7選を承認し、新たに幹事長に石井啓一氏(62)、政調会長に竹内譲氏(62)の就任を決めた。安定と世代交代双方を狙った新体制のスタートは、菅義偉首相による新内閣の始動期と重なった。[br][br] 山口代表は菅内閣を「国民目線の改革を進める内閣」と評価するが、立党の精神である「大衆とともに」を忘れず、生活を守る政治を追求してほしい。同時に政権のブレーキ役としての存在も示してほしい。[br][br] 党大会には首相が出席し内閣への協力を要請、山口代表は「全力で支える」と応じ連立政権の盤石ぶりを強調した。首相も早々に、不妊治療の保険適用拡大や助成制度拡充を目指す考えを示した。医療、福祉などは公明党が重視してきた分野。首相サイドの配慮がうかがわれる。[br][br] 首相が最優先課題とする新型コロナウイルス感染症対応では前政権時代、山口代表には現金給付の金額を1人当たり一律10万円とするよう要求、実現させた実績がある。今後とも医療、経済、教育、生活困窮などへの諸対応を巡り政府への働きかけが期待される。[br][br] 幼児教育や高等教育無償化、消費税率引き上げに伴う軽減税率の導入、未婚ひとり親の税負担軽減―など、党が成果として掲げる生活に密接な政策については、引き続き注力してほしい。[br][br] 自民との連立政権に加わったのは21年前。2009年に自民とともにいったん下野するが、安倍晋三首相の誕生とともに政権に復帰、間もなく8年となる。[br][br] 残念ながら、この間目立ったのはブレーキとしての機能の劣化だ。特定秘密保護法、安全保障関連法、共謀罪の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備法など、野党の反対が強く支持母体の創価学会にも慎重論があった法律の強行的成立に加担した。[br][br] 権力の行政への干渉が疑われた森友や加計学園、桜を見る会を巡る問題でも安倍首相や官僚に十分な説明責任を果たすよう強く迫ることはなかった。「与党慣れ」ともいえる政治姿勢が選挙での集票力の低下傾向につながっているとも言える。[br][br] 政府のコロナ対応が続く限り、安倍前首相が志向した憲法9条改正や「敵基地攻撃能力」の保有が、直ちに政治課題となる可能性は小さいだろうが、国論を二分する問題では丁寧な議論が必要だ。同時に、権力をチェックするという役割も十全に果たさなければならない。