利便性それとも安全性? 六ケ所村役場新庁舎の候補地

六ケ所村が2025年度末の完成を目指す村役場の新庁舎を巡り、建設基本構想の素案で示した7カ所の候補地全てが、使用済み核燃料再処理工場と東北電力東通原発のいずれかの緊急時防護措置準備区域(UPZ)の範囲内であることについて、一部の村民から不安.....
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 六ケ所村が2025年度末の完成を目指す村役場の新庁舎を巡り、建設基本構想の素案で示した7カ所の候補地全てが、使用済み核燃料再処理工場と東北電力東通原発のいずれかの緊急時防護措置準備区域(UPZ)の範囲内であることについて、一部の村民から不安の声が上がっている。事故などの緊急時に役場の機能を十分に発揮できない可能性がある。村は来庁のしやすさなど利便性を考慮した結果と説明しているが、今後の議論では安全性も大きな焦点の一つとなりそうだ。[br] 新庁舎は、現在の庁舎の老朽化が進んでいることから、村が新設に向けて庁内で議論を重ね、基本構想や基本計画のたたき台となる素案を8日に提示。候補地として、現庁舎の立地場所や出戸地区地域交流ホーム周辺、尾駮レイクタウン北側など7地区が示された。[br] 一方、UPZは原子力災害が発生した際、屋内退避や避難などを行う区域で、7地区のうち5地区が再処理工場のUPZ(半径5キロ)圏内、全区域が東通原発のUPZ(半径30キロ)圏内に入っている。[br] UPZ内に役場を建設できないという規定はないものの、国が避難を指示するような大規模な事故が発生した場合、圏内にある役場も防災拠点としての機能を維持できなくなる可能性が高い。村も素案で、UPZ圏内にあることは「デメリット」と記載するなど、重要な課題と認識している。[br] 万が一の際に役場が使用できないことについて、村内の70代女性は「事故が起きないのが一番だが、やはり心配だ。できれば不安がない場所に建ててほしい」と訴える。[br] ただ、UPZ圏外に庁舎を置く場合、かなり郊外になり、利便性が失われるとの指摘もある。圏外である村の南部に設置した場合、北部の住民にとって移動距離が大幅に増えることは避けられない。[br] 候補地について、村は「あくまでも案で、まだ何も決定していない」と強調。11月にも発足する、村民や有識者による検討委員会の意見を踏まえながら候補地を決めていく考えだ。[br] 戸田衛村長は取材に「住民の不安は理解できる。新庁舎の建設地は村の重要課題なので、検討委には、安全性や利用しやすさを徹底的に議論してもらいたい」と語った。