大間原発工事2年延期 運転開始時期は28年度ごろ/Jパワー

報道陣に大間原発の工事延期について説明する浦島彰人副社長=10日、青森県庁
報道陣に大間原発の工事延期について説明する浦島彰人副社長=10日、青森県庁
電源開発(Jパワー)は10日、大間町で建設中の大間原発について、安全対策工事の開始時期を2020年後半から22年後半に2年程度先送りすると表明した。新規制基準の審査長期化が理由。工事の延期は通算4度目。26年度ごろとしてきた運転開始時期も、.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 電源開発(Jパワー)は10日、大間町で建設中の大間原発について、安全対策工事の開始時期を2020年後半から22年後半に2年程度先送りすると表明した。新規制基準の審査長期化が理由。工事の延期は通算4度目。26年度ごろとしてきた運転開始時期も、28年度ごろに延ばした。 同日、青森県と町、隣接する佐井、風間浦の両村に報告した。対策工事の完了時期は25年後半から27年後半に変更し、試運転期間を約1年と見積もった。[br] 大間原発は旧規制当局の安全審査を経て、08年5月に着工したが、東京電力福島第1原発事故の影響で本体工事を中断。その後、新規制基準が施行され、Jパワーは14年12月に原子力規制委員会へ審査開始を申請した。[br] 審査会合は41回、規制委による現地調査は1回行われた。ただ、基準地震動(耐震設計の目安となる地震の揺れ)と基準津波(想定される最大規模の津波)という、必要な安全対策の内容を決定付ける二つの関門を突破できていない。 [br] 施設の安全性に関する議論は手付かず。全炉心でプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を使うことができる世界初の商業用原子炉という性質上、審査には一定の期間を要するとみられる。[br] ただ、県庁で取材に応じた浦島彰人副社長は審査が確実に進展している―とし、「今後想定される審査の項目について計画的に考えた」と2年の延期幅の妥当性を強調した。[br] 深刻な状況にある地元経済への対応として「ボーリングコア(地質試料)を収める倉庫の建設や敷地造成など周辺工事を進める」とも語った。[br] 浦島副社長から説明を受けた柏木司副知事は、延期が繰り返されている状況に「県民や関係自治体の理解が得られるよう最大限の努力を」と求めた。[br] 大間原発は、MOX燃料を炉心の一部で利用する通常の原発と比べて、3~4倍のプルトニウム(約1・1トン)を消費でき、プルトニウム消費の“切り札”と目される。報道陣に大間原発の工事延期について説明する浦島彰人副社長=10日、青森県庁