時評(9月3日)

国会議員が自らの汚職事件裁判に絡み、虚偽証言を頼んだ疑いで逮捕されるとは信じ難い事態だ。カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業を巡る汚職事件で、収賄罪で起訴された衆院議員秋元司容疑者=自民党離党=が贈賄側被告に自分に有利な証言を依頼し、.....
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 国会議員が自らの汚職事件裁判に絡み、虚偽証言を頼んだ疑いで逮捕されるとは信じ難い事態だ。カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業を巡る汚職事件で、収賄罪で起訴された衆院議員秋元司容疑者=自民党離党=が贈賄側被告に自分に有利な証言を依頼し、報酬を提供しようとした疑いで東京地検特捜部に再び逮捕された。[br] 秋元議員は否認するが、贈賄側被告は同議員の関係者から偽証を持ち掛けられたと認めた。事実なら、裁判の公正さをねじ曲げ、国会議員としての資質を著しく欠く行為と言わざるを得ない。今後の捜査、裁判で真相を徹底解明してほしい。[br] かつてIR担当の内閣府副大臣などを務めた秋元議員は2017年から18年にかけ、IR事業参入を目指した中国企業側から計約760万円相当の賄賂を受け取ったとして収賄罪で起訴された。今年2月に保釈され議員活動も再開していた。[br] しかし特捜部は8月、贈賄罪で起訴した中国企業の元顧問に裁判での偽証を働き掛けたとして、組織犯罪処罰法違反(証人等買収)の容疑で秋元議員や支援者らを相次ぎ逮捕した。[br] 偽証依頼が疑われるのは起訴内容のうち、17年に秋元議員が議員会館で現金300万円を受け取ったとされる場面だ。特捜部は面会自体を否定する秋元議員の意向が強く働き、支援者らが高額の報酬を見返りに偽証を頼んだとみて調べている。[br] 汚職事件初公判で元顧問は起訴内容を認め、偽証依頼でも秋元議員の関係者から1千万円を提示され、断ると追加報酬を提案されたなどと明らかにした。支援者は秋元議員に頼まれたと供述、報酬用とみられる現金からは秋元議員の指紋が検出されたという。[br] 秋元議員は収賄罪と偽証依頼の容疑を全面否定しているものの、不利な証拠などにどう反論するのか。自民離党後も国会や所属する派閥の会合に出席してきた。だが度重なる疑惑に国民や与野党から批判が出ており、無実を証明できないなら議員を辞職するのが筋ではないか。[br] IR汚職では立件されなかったが、他の自民党などの議員側へ中国企業側からの金銭提供が判明、安倍政権が目玉政策とした事業の不透明さが浮上した。[br] 一方、新型コロナウイルス禍で経営が悪化した海外カジノ事業者の誘致は難しくなり、ギャンブルを合法化する計画への反対論も強い。安倍晋三首相の退陣を機に、将来像が見通せないIR事業計画を根本から見直すべきだろう。