MOX工場審査終盤 再処理ノウハウ生かせず 長期化の一因に/原燃

終盤を迎えたMOX燃料工場の審査会合=7月27日、東京都内
終盤を迎えたMOX燃料工場の審査会合=7月27日、東京都内
MOX(プルトニウム・ウラン混合酸化物)燃料工場(六ケ所村)の完成に必要な審査が、日本原燃の申請から6年半余りたってようやく終盤を迎えた。先に合格した再処理工場でも時間を費やした重大事故対策は限られるが、議論が長期化している背景には、再処理.....
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 MOX(プルトニウム・ウラン混合酸化物)燃料工場(六ケ所村)の完成に必要な審査が、日本原燃の申請から6年半余りたってようやく終盤を迎えた。先に合格した再処理工場でも時間を費やした重大事故対策は限られるが、議論が長期化している背景には、再処理の審査ノウハウを社内で生かし切れていないことや、建設段階という固有の事情がありそうだ。[br] 「現時点で大きな論点はないと確認した」。7月27日の審査会合で規制委の田中知委員はこう総括し、原燃にこれまでの指摘を踏まえて補正申請書をまとめるよう促した。補正書は合格証原案のたたき台になり、事務方の原子力規制庁幹部は「材料は整っている。後はうまくはめ込んで説明できるかどうか」と見通す。[br] 原燃が2014年1月に審査を申し出たMOX工場は、再処理で取り出すプルトニウムなどの粉末をペレット状に焼き固め、原発の炉心に装荷する燃料に加工する施設だ。[br] 製造ラインは一つの建屋に収まり、冷却が必要な放射性物質を持たない。主な想定事故である火災も、ダクト破損や粉末を扱う密閉装置(グローブボックス)の機器故障などを仮想的に組み合わせた条件下に発生が限定される。工程だけで十数の建屋に分かれる複雑な再処理とは大きく異なる。[br] そうした審査が長引く要因として規制委内部で上がるのは、7月に先行して合格にこぎ着けた再処理の審査を巡り、部署の異なるMOXの担当者がどれだけ問題意識を持っていたのかという疑問の声だ。[br] 運営会社は別でも共通構造が多い原発の場合、各電力は先を走る審査の論点を自社に置き換えて分析、説明に反映してきた。再処理とMOXの両工場は共に初めての審査となるだけに、部署間で「事故の種類は違っても応用問題的に考えていなければならない」(規制庁の審査担当者)というわけだ。[br] 「MOX側の経験が足りていない」。こう指摘する原燃の増田尚宏社長は、再処理の担当者をMOX審査に振り向けて進展をうかがう。一方、MOX工場が建設途中で、とりわけ若手社員に設計思想の浸透を図らなければならないという事情も長期化には関係しそうだ。[br] 「結局は物がなく、汗をかいた本人でないと分からない」との見方を示す規制庁幹部は「時間はかかっても意味はある。許可(合格)どうこうではなく、何か起きた時のために勉強する時間なのではないか」と解説する。[br] これまで週1回のハイペースで開かれてきた会合はいったん休止し、規制委は8月末以降に審査を再開する方針。原燃が今後提出する補正書の完成度が最終盤の行方を左右しそうだ。終盤を迎えたMOX燃料工場の審査会合=7月27日、東京都内