“コーヒー愛”に満ちた1杯 工藤さん、念願のカフェ開店/三沢

念願だった開店を家族と喜ぶ工藤広太さん(後列右)。“コーヒー愛”に満ちた1杯を提供する=9日、三沢市
念願だった開店を家族と喜ぶ工藤広太さん(後列右)。“コーヒー愛”に満ちた1杯を提供する=9日、三沢市
春日台トンネルの上の高台に優しい一杯がある―。三沢市春日台1丁目の工藤広太さん(36)=青森市出身=は7月、自宅兼店舗でカフェ「自家焙煎(ばいせん)珈琲cogemame(コゲマメ)」を開いた。自分の人生でコーヒーが重要な存在と信じ続け、いつ.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 春日台トンネルの上の高台に優しい一杯がある―。三沢市春日台1丁目の工藤広太さん(36)=青森市出身=は7月、自宅兼店舗でカフェ「自家焙煎(ばいせん)珈琲cogemame(コゲマメ)」を開いた。自分の人生でコーヒーが重要な存在と信じ続け、いつかは店を開きたいという数年来の念願をかなえた。こだわりは直火式の手回し焙煎と丁寧な豆の選別。時間と手間を掛けて豆をいとおしみ、“コーヒー愛”に満ちた自信の1杯をカップに注ぐ。[br] 夜。自宅の作業場で1人、焙煎する時間だ。欠けや虫食いがある欠点豆を手作業で1粒ずつ取り除いた生豆を、ガス台の上に収まる焙煎機に数百グラム入れ、火に掛ける。温度を見つつ、熱が豆に均等に行き渡るように本体のハンドルを回す。[br] 作業で心掛けるのは再現性。常に同じ味を出すため、火力や時間に差が出ないように注意を払う。焙煎を終えると、冷ましてから再度、欠点豆を1粒ずつ取り除く。少しの妥協で味が変わってしまうからだ。「どんな豆でも手間を掛ければよりおいしくなる」との言葉に愛情をにじませる。[br] 青森市で社会人に。21歳のある日、友人との会話から、ただ飲むのが好きだったコーヒーが気付かぬうちに生きがいになっていたことを意識し始める。妻のあゆみさん(35)=十和田市出身=と結婚後、いずれは開業したいと漠然と考えていた頃から、本を読むなど少しずつ勉強を重ねた。 8年ほど前に青森のコーヒー好きの「津軽焦(こ)げ豆(まめ)」と名乗り、以来インターネット上で発信を続けた。それがきっかけとなり、青森市で初めて開かれた青森コーヒーフェスティバルの実行委員に。運営に携わり多くの店の人と交流する中、人々を幸せな表情にするコーヒーの力を再確認。自家焙煎への興味も芽生え、時間を見つけては技術を学んだ。[br] 発信を重ねる中で、自分を奮い立たせるために、店を開きたいとの思いを繰り返し公言した。開業を視野に入れ、長女が小学校に上がる2020年に、あゆみさんが生まれた三沢に移住することを決断。19年は青森県南地方で開かれるイベントに参加し、焙煎した豆やコーヒーを売って知名度を上げるように努めた。[br] 7月1日、ついに開店。現在は、毎晩のように焙煎しなければ間に合わないほど。それでも「ずっと信じてきたものに携われて幸せだ」と喜びをかみ締める。[br] コーヒーは3種類の豆を合わせた「うちのブレンド」を主に出している。どの人も愛してくれるような、バランスの取れた味わいが特長。コーヒーが苦手なあゆみさんが「これなら飲める」と言ってくれたのが決め手となった。[br] 願いは、誰もが気軽に店に入り、コーヒーを楽しむ文化が育つこと。自分がその役に立てれば、との思いを募らせる。「多くの人に自分のコーヒーを知ってほしい。この三沢から県南のコーヒー文化を盛り上げたい」。抱く目標は大きい。[br] ◇      ◇[br] 住所は三沢市春日台1丁目119の7。営業時間は平日が午前10時~午後5時、土曜は正午~午後4時。日祝日定休。問い合わせはコゲマメ=電話080(1820)1645=へ。念願だった開店を家族と喜ぶ工藤広太さん(後列右)。“コーヒー愛”に満ちた1杯を提供する=9日、三沢市