アブラメ資源保全へ取り組み進む 小サイズは海へ、稚魚放流も

八戸磯釣愛好会が主催したアブラメの稚魚放流。2千匹の稚魚を放流した=6月、八戸市鮫町の深久保漁港
八戸磯釣愛好会が主催したアブラメの稚魚放流。2千匹の稚魚を放流した=6月、八戸市鮫町の深久保漁港
刺し身でも煮魚でもおいしく、釣りでもなじみが深いアブラメ(アイナメ)。階上町が「町の魚」としてブランド化を進めていることでも注目を集めているが、青森県内では水揚げ量が減少傾向にあり、資源確保が大きな課題となっている。この現状に同町は、漁や釣.....
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 刺し身でも煮魚でもおいしく、釣りでもなじみが深いアブラメ(アイナメ)。階上町が「町の魚」としてブランド化を進めていることでも注目を集めているが、青森県内では水揚げ量が減少傾向にあり、資源確保が大きな課題となっている。この現状に同町は、漁や釣りで20センチ未満の場合は海に戻すことを呼び掛けるポスターを作成。各地で稚魚放流を行う動きも増えており、官民問わずアブラメを守り育てようとの意識が高まりつつある。[br] 県の統計によると、県内のアブラメの漁獲量は2008年に257トンだったが、徐々に減少し、15年以降は100トンを割り込んだ状態が続いている。[br] 町は3月、アブラメのブランド化推進協議会「はしかみブランドプロジェクト CompAss(コンパス)」を設立。資源確保を中心事業の一つとし、町内の漁業関係者や遊漁船業者らと取り組んでいる。[br] さらに町内外の協力が必要と考え、サイズの小さいアブラメの放流を呼び掛けるポスターとステッカーを各100部作成。八戸、階上、洋野の3市町の漁業関係者らに配布した。ステッカーにはアブラメ20センチの写真と目盛りが原寸大で付いており、釣り上げた後に計測できるように工夫した。[br] 放流事業も活発化している。同町の青森県栽培漁業振興協会は18年度から、アブラメ稚魚の出荷を再開し、町が放流を実施。県立八戸水産高(福嶋信校長)は稚魚に標識を付けて放流。成長過程や回遊範囲などの調査に役立てる。[br] 大間漁協は今年初めて放流事業を実施し、6月に3千匹を放流した。漁協担当者は「マグロのイメージが強いと思われるが、町民の間ではアブラメも親しまれている。水揚げ量は右肩下がりなので、対策が必要だった」と話す。[br] 全国の釣り具店などで構成する日本釣振興会は19、20年と2年連続で八戸など県内3カ所での稚魚放流に予算を割いた。八戸では19年に3千匹、20年は2千匹を放流した。[br] 運営に当たったまべち釣具店(八戸市)の渡辺敏博会長は「アブラメは放流後も近海で生育する傾向があり、生存率も高い。稚魚放流の成果を出すためには事業の継続が最も大切だ」と力を込める。[br] 稚魚放流の動きは釣り愛好者の団体にも広がり、八戸磯釣愛好会(小島道弘会長)は6月に2千匹を放流した。同会は通年でアブラメの釣果を競っているが、創設以来、25センチ未満の場合は放流することをルールで定めている。小島会長は「釣果も大事だが、釣り人としての手本も示していきたい」と話した。八戸磯釣愛好会が主催したアブラメの稚魚放流。2千匹の稚魚を放流した=6月、八戸市鮫町の深久保漁港