八戸市政の最重要課題の一つである荷さばき施設A棟について、市はまたもや「議会への説明を優先させる」との理由で情報公開に後ろ向きな姿勢を示した。背景には、自分たちへの説明前に報道されると「議会軽視だ」と圧力を加える市議会の存在もある。[br] 建設の妥当性自体が問われ、毎年赤字を垂れ流し続けるA棟。今後は国への補助金返還という形で新たな負担を生じさせかねず、市民の関心は極めて高い。にもかかわらず、市はこれまでも情報公開に消極的な姿勢を示してきた。[br] 理由は「まずは市民の代表である議会に説明してから」。「協議会」という議員8人の会合で説明してからでないと、22万人余りの市民には公表できないのだという。実はこの構図はA棟問題だけにとどまらず市政全般に及んでいる。[br] 協議会が開かれるのは原則として月に一度。これでは市民にとって重要な情報が最長で1カ月も市庁内に滞留する上に、市議会の存在を隠れみのにして、市にとって不都合な情報が隠蔽(いんぺい)されかねない。[br] 実際、今回のように決定や提出、実行がされている事項でも、協議会前に報道されると強い口調で抗議する議員は多い。本質的な議論よりも報道のタイミングを問題とする場合もあるほどだ。そうした言動が市民への情報伝達を妨げているという自覚が議員にあるだろうか。「議会優先」による公表の遅れや先送りによって最も不利益を被っているのは誰だろうか。[br] 今回の事後評価を巡る市の姿勢は、市民に速やかに伝わるべき情報が市庁内に滞留し続ける現状を象徴している。