奥入瀬渓流遊歩道の枝168本切断被害 「自然公園法違反に該当」環境省、実態調査へ

はさみのようなもので切断された枝=7月下旬、十和田市
はさみのようなもので切断された枝=7月下旬、十和田市
十和田八幡平国立公園の奥入瀬渓流の遊歩道で7月、地元の自然保護団体の調査により、手で折られたり、切断されたりした木の枝が計168本見つかった。何者かが歩行の妨げになるなどの理由で、独断で行った可能性が高い。被害は遊歩道全域に及んでおり、同団.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 十和田八幡平国立公園の奥入瀬渓流の遊歩道で7月、地元の自然保護団体の調査により、手で折られたり、切断されたりした木の枝が計168本見つかった。何者かが歩行の妨げになるなどの理由で、独断で行った可能性が高い。被害は遊歩道全域に及んでおり、同団体は「ここまで被害本数が多いのは今までにない。違法行為だ」と憤る。環境省も自然公園法違反に当たるとの認識を示しており、実態把握のため、今月上旬に現地を調査する方針。[br] 奥入瀬渓流は、ほぼ全域が国立公園で最も規制が厳しい特別保護地区と、国特別名勝・天然記念物に指定されている。樹木の伐採処理には、自然保護法と文化財保護法を所管する行政機関の許可が必要だ。[br] 調査は「八甲田・十和田を愛する会」の久末正明代表が7月20~27日に焼山から子ノ口までの約14キロで実施。焼山―黄瀬間(約2キロ)は、はさみなどで切断された跡があり、黄瀬―子ノ口間(約12キロ)は、手で折ったとみられる枝が多かった。折られた枝は、ほとんどが垂れ下がった状態で、元の位置に戻すと、歩行者の体や顔にかかるような枝だった。[br] 遊歩道を管理する県は毎年、同省や市教委に許可を申請し、落下などの危険がある枝の処理を行っているが、自然保護のため必要最低限にとどめている。同省や県によると、今回の被害を部分的に確認した限りでは、枝は危険木の対象ではないという。[br] 久末代表によると、これまでも観光客によって折られたと思われる枝が見つかったことはあるが、一度に100本単位で被害が確認されたのは初めて。「誰がなぜ、こんなことをしたのか。自然を守ることが前提の奥入瀬渓流で、やってはいけないことへの認識が低い」と語気を強めた。[br] 同省十和田八幡平国立公園管理事務所の森川久所長は取材に「木竹の損傷で、自然公園法違反に当たる。悪質性などを見極め、今後、告発するかどうか判断したい」と話した。[br] 市教委も文化財保護の観点から今後の対応について、県教委と協議するとしている。はさみのようなもので切断された枝=7月下旬、十和田市