31日に確認された青森県内32人目の新型コロナウイルス感染者について、県はこれまで明らかにしてきた性別や職業、家族構成を初めて公表しなかった。一方、居住地の青森市は性別と職業は明かしたものの、小野寺晃彦市長は会見で「感染者を詮索し、誹謗(ひぼう)中傷につながった事実があると聞いている」と強調。今後判明した感染者については、県の方針を踏まえ、性別、職業を含めた個人情報を非公表とする―との意向を示した。[br] 新たに感染を確認したのは、同市に住む50代男性会社員。7月10~12日に関西地方への滞在歴があった。[br] これまで県や市は感染が判明した際、感染者の行動歴に加え、年代、性別、職業、濃厚接触者の有無について公表。一方、「疫学的観点から感染拡大防止対策に有効な情報のみを公表する」として、感染者が訪れた医療機関名や飲食店名などについては伏せていた。[br] 今回の感染者を巡っては、県は居住地と年代、行動歴、現在の状況を公表。市はこれに加えて、性別と職業を明らかにした。[br] 取材に対し、県健康福祉部の有賀玲子部長は「(公表しない部分は)感染拡大を左右するものではなく、感染拡大防止策に関係ない」と説明したが、「公表基準に関しては固まっておらず、皆さん(報道機関)の意見を聞いた上で進めていきたい」とも述べた。[br] 性別と職業を公表した小野寺市長は「県の方針は承知していたが、本日までに県と調整ができておらずこれまでに準じて発表した」とし、今後は公表を差し控える考えを示した。 感染者については、個人情報や行動歴を特定しようとする動きがインターネット上などで見られ、差別や偏見、プライバシーの侵害を防ぐ取り組みの必要性が高まっている。