青森県独自品種ジュノハート、高級イメージ保護か収入優先か/規格外品の扱いが課題

八戸市中央卸売市場に出荷された規格外ジュノハート(左手前の3箱)=13日
八戸市中央卸売市場に出荷された規格外ジュノハート(左手前の3箱)=13日
今月、全国デビューを果たし、注目を集めているサクランボの青森県独自品種「ジュノハート」。高級イメージを保つため、当初は出荷規格外品は流通させない方針だったが、手間暇を掛けた収穫物を無駄にしたくないという生産者の思いと、安価に買い求めたい消費.....
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 今月、全国デビューを果たし、注目を集めているサクランボの青森県独自品種「ジュノハート」。高級イメージを保つため、当初は出荷規格外品は流通させない方針だったが、手間暇を掛けた収穫物を無駄にしたくないという生産者の思いと、安価に買い求めたい消費者のニーズもあり、県南地方の産直施設や市場で取り扱われているのが現状だ。高級なイメージを損なわずに生産者の収入も安定させるには、規格外品を使った加工品などをいかに売り出すかが重要。今後、加工品のアイデアや流通ルートの確立が鍵を握りそうだ。[br] 県や生産者団体などによる「おうとう『ジュノハート』ブランド化推進協議会」は2018年3月、全体戦略を策定。出荷規格について「ハート型をした3Lサイズ(横径28ミリ)以上」とし、着色の基準も定めた。農産物である以上、着色むらや傷が一定数生じることは避けられず、ブランドイメージを損なわないよう加工用や業務用に回す方針だった。[br] しかし、現段階で加工品が定まっていないほか、業務用向けの販路も確立しておらず、規格外品も販売したい生産者の意向は根強い。主産地・南部町の生産者部会は6月に「出荷する場合は『規格外』や『B品』と明記する」と取り決め、事実上、規格外品の市場流通を認めた。事務局の町農林課は「戦略に強制力はなく、加工用の受け皿が十分でない中、出荷を禁止することはできない」と説明した。[br] 現状、産直施設で規格外ジュノハートは人気商品で、並ぶとすぐに売り切れる。「B品」を出荷する同町の生産者の男性は「人気があるのに少し見た目が悪いだけで出せないのはもったいない。ただ、何でもありにならないようルールは必要」との考えを示す。[br] 今月13、16の両日には八戸市中央卸売市場にも規格外品が上場し、1箱(500グラム前後)2500~3千円で取引された。卸売会社・八戸中央青果の丸谷泰男果実統括本部長は「華やかな面が注目されがちだが、どうしても下位等級品の問題は出てくる。生産者のことを思えば県が率先して加工品などの流通ルートを整えるべきだ」との見解を示した。[br] ブランド化を担当する県総合販売戦略課も規格外品の流通ルートは必要との認識だ。生産量が増える来年度以降を見据え、担当者は「第一弾として、菓子店と連携したスイーツの開発を試験的に行っている。関係者の意見を聞き、今後の方針を探りたい」と述べた。八戸市中央卸売市場に出荷された規格外ジュノハート(左手前の3箱)=13日