天鐘(7月18日)

中国の南北朝時代、梁(りょう)という国の司令官蕭明(しょうめい)が敵をなかなか攻撃しないので、部下が理由を質(ただ)すと「自らの機に臨みて変を制す」と答え、余計なことは考えなくいいと叱ったという▼「状況を把握し、変化に適応して動く」という意.....
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 中国の南北朝時代、梁(りょう)という国の司令官蕭明(しょうめい)が敵をなかなか攻撃しないので、部下が理由を質(ただ)すと「自らの機に臨みて変を制す」と答え、余計なことは考えなくいいと叱ったという▼「状況を把握し、変化に適応して動く」という意味で、「臨機応変」の語源になった。孫子の兵法「彼を知り己を知らば百戦殆(あやう)からず」(謀攻篇)の極意にも通底する。こんな司令官なら何も言うことはない▼“夜の街”を震源とする東京都の新型コロナ感染者は200人超が続く。政府は「市中の感染拡大はまだ」と否定するが、若者から中高年、酒場から職場に浸透。“夜の街”がそのまんま地方にも忍び込んでいる▼その中で政府は観光業支援策「Go To トラベル」を展開する。全国一律から突然の「東京外し」には驚かされたが、何やら官邸特有の“政治臭”が漂う。分科会の時期尚早論も政治の声に掻(か)き消された▼観光を足掛かりに経済のV字回復を期すが、現場から「今までの我慢が水泡に帰す」(宮下宗一郎むつ市長)と異論も続出。脆弱(ぜいじゃく)な医療を守ろうと子供の帰省を拒み続けてきた親には、信じ難い論理の転換だろう▼高齢者だらけの地方にはコロナは脅威そのもの。知事が「なぜ今?」(山形県)「邪魔をするな」(秋田県)と疑心を持つのも当然だ。背反するものを両立させるのだから細心の注意が必要。“前のめり”では大けがをする。