【新型コロナ】青森港クルーズ船、キャンセル相次ぐ/観光業に“荒波”経済損失4億円試算

新型コロナウイルスの影響で、青森港に寄港予定だったクルーズ船のキャンセルが相次いでいる。クルーズ船は、インバウンド(訪日外国人客)や国内の富裕層に人気で、乗船客は地元の行楽地を周遊するなど観光業にもたらす恩恵は大きい。地元の調査機関によると.....
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 新型コロナウイルスの影響で、青森港に寄港予定だったクルーズ船のキャンセルが相次いでいる。クルーズ船は、インバウンド(訪日外国人客)や国内の富裕層に人気で、乗船客は地元の行楽地を周遊するなど観光業にもたらす恩恵は大きい。地元の調査機関によると、2020年に寄港予定だった全25隻が中止となった場合、経済損失額は約4億円と試算。順風満帆だった東北有数の寄港地に襲いかかった“荒波”に、青森県内の観光関係者は「回復する見込みもなく、厳しい状況が続いている」と顔を曇らせる。[br] 「8月5日に青森港への寄港が予定されていたクルーズ客船『コスタ・ネオロマンチカ』の寄港が中止となりました」[br] 7月9日午後、青森市や観光団体などで構成する青森港国際化推進協議会(事務局・同市)は、短文投稿サイト「ツイッター」に寄港中止のお知らせを投稿した。同港の魅力発信を想定して昨秋からツイッターによるつぶやきを始めたが、今年に入り寄港中止を伝え続けている。[br] 同日現在、20年に寄港予定だった25隻のうち、外国船15隻、日本船5隻の計20隻の寄港中止が決定。同協議会事務局の市交流推進課の福岡文穂主幹は「昨年より多くの観光客が青森を訪れるはずだった」と険しい表情を見せる。[br] 県や市は同港の整備や積極的なポートセールスを行うなど、クルーズ船の誘致に力を入れてきた。昨年は世界的に有名な「クイーン・エリザベス」(9万901トン、2081人乗り)が初入港するなど、知名度のある豪華客船も寄港。ここ数年は3万人前後が訪れ、今年は過去最高の約4万2千人を予定していた。[br] クルーズ船は午前に入港し、乗船客は十和田湖や奥入瀬渓流、弘前市など県内の主要な観光地を巡り、その日のうちに出港するのが一般的な行程となっている。1人当たりの滞在時間は短いが、県外や外国からまとまった数の観光客が来るため、観光業への波及効果は抜群だ。[br] だが、新型コロナの発生初期段階で、横浜港に寄港したクルーズ船内で集団感染が発生し、世間的なイメージが大きく損なわれた。予約のキャンセルや寄港の見合わせが続いており、需要回復の見通しは立たないのが現状だ。 経済調査を実施する「あおもり創生パートナーズ」(青森市)の前身・青森地域社会研究所の報告によると、17年に寄港した22隻分で約3億5千万円の経済効果があると予測。今年は予定していた25隻分が全て中止になると約4億円の損失が生じる計算だ。[br] 同パートナーズの松田英嗣地域デザイン部長は「クルーズ船の乗船客は外国人が中心で、インバウンド需要の回復には長い時間がかかる」と推測。その上で、「観光業者は近場の観光客を取り込むなどして、経営を維持する努力が求められるだろう」と指摘する。