はちのへ山車振興会が伝統山車を制作「歴史のバトン、次世代へ」/三社大祭期間中の展示目指す

八戸三社大祭の雰囲気だけでも楽しんでもらおうと、はちのへ山車振興会はマチニワに展示を予定する山車の制作に励んでいる=11日、八戸市の長者まつりんぐ広場
八戸三社大祭の雰囲気だけでも楽しんでもらおうと、はちのへ山車振興会はマチニワに展示を予定する山車の制作に励んでいる=11日、八戸市の長者まつりんぐ広場
発祥300年の節目を迎えながら、新型コロナウイルスの影響で、祭礼行事のみとなった今年の八戸三社大祭(7月31日~8月4日)。全27山車組で構成するはちのへ山車振興会は、祭りの雰囲気だけでも楽しんでもらおうと、八戸市中心街のマチニワに展示する.....
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 発祥300年の節目を迎えながら、新型コロナウイルスの影響で、祭礼行事のみとなった今年の八戸三社大祭(7月31日~8月4日)。全27山車組で構成するはちのへ山車振興会は、祭りの雰囲気だけでも楽しんでもらおうと、八戸市中心街のマチニワに展示する山車の制作を進めている。3神社の附祭ごとに挑むのは、昭和の祭りをほうふつとさせる山車の再現。現在の大型化された山車ではなく、原点とも言える姿を老若男女に楽しんでもらい、歴史のバトンを次世代へ引き継ごうとする制作者たちの願いが込められている。「コロナで祭りは終わらせない」。制作にも気迫がみなぎる。[br] 大きな節目を迎え、各山車組では例年以上の山車を目標に据えていたが、合同運行や展示は中止。振興会では祭りの伝統・継承を目指し、中心街で現在も連日行われているお囃子(はやし)の披露と、展示用の山車制作を決めた。[br] 組同士は普段、しのぎを削るライバルで、制作技術は門外不出。一方、2018年に同市のユートリーに展示している山車を初めて合同で制作したほか、昨年は「あおもり10市大祭典」で運行する山車を手掛けた。[br] 3度目となる合同制作は、神社附祭のグループごとに実施。通常の山車とは違い、縦横共に2・7メートルの小型サイズとなるが、神明宮は波山車、龗(おがみ)神社は岩山車を手掛け、悪疫退散の願いを込める。高覧山車を作る長者山新羅神社は、義経伝説を題材に外出自粛で楽しめなかった桜を山車いっぱいに表現する。[br] 同市の長者まつりんぐ広場では、2日から山車作りのイメージの共有が始まり、完成に向けて急ピッチで作業が進められている。[br] ただ、昭和30~40代の山車を作り上げるのは至難の業。制作者のほとんどが見たこともなく、技術も異なる。落ち着いた色合いも特徴であるため、制作者たちは、それぞれ綿密に打ち合わせをしながら一つずつの工程をこなしていた。[br] 神明宮附祭の制作リーダーを務める売市附祭山車組の久慈孝輔さん(40)は「多くの先輩制作者たちに聞きながら、力を合わせて当時の姿に近づけたい」と意気込む。[br] 作業に苦戦しながらも、制作者たちには笑顔があふれる。今年はないと思われていた山車作りに携われることは“祭り人”としてこの上ない喜びだからだ。[br] 内丸親睦会の下村豊さん(57)は「いつもなら連日山車小屋にいたので、夜の時間の過ごし方が今まで分からなかった」と笑顔。「やっぱりみんなとの山車作りは楽しい。徐々にギアを上げながら、みんなに楽しんでもらえるよう仕上げたい」と話した。[br] マチニワでの展示は31日~8月16日で、山車のお囃子や郷土芸能の披露なども予定。会場では、マスク着用の呼び掛けや「3密」の回避を行いながら、できる範囲で祭りの魅力を今年も伝えていく。山車振興会副会長の田端隆志さん(66)は「山車作りを続け、見に来る子どもたちに楽しんでもらうことが、これからの祭りを守ることになる」と力を込めた。八戸三社大祭の雰囲気だけでも楽しんでもらおうと、はちのへ山車振興会はマチニワに展示を予定する山車の制作に励んでいる=11日、八戸市の長者まつりんぐ広場