幻のサクランボ「Jのしずく」 独自品種研究の道開く

「果汁が多く懐かしい味」とJのしずくを育成している小林正明さん=9日、八戸市南郷
「果汁が多く懐かしい味」とJのしずくを育成している小林正明さん=9日、八戸市南郷
全国デビューを果たし、注目を集めているサクランボの青森県独自品種「ジュノハート」。県が品種登録したサクランボとしては2例目で、20年以上前に開発された第1号の“先輩”がいる。名は「Jのしずく」。「裂果しにくく味も良い」との触れ込みだったが、.....
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 全国デビューを果たし、注目を集めているサクランボの青森県独自品種「ジュノハート」。県が品種登録したサクランボとしては2例目で、20年以上前に開発された第1号の“先輩”がいる。名は「Jのしずく」。「裂果しにくく味も良い」との触れ込みだったが、日持ちしなかったため普及せず、今では幻のサクランボとなった。[br] 「味は悪くないよ。珍しいから1本だけ植えたんだ」。八戸市南郷で観光果樹園を営む小林正明さん(72)は9日、園地で赤い実を摘み取った。100円玉より一回り大きいサイズ。口に含むと甘酸っぱい果汁がたっぷりと広がる。[br] Jのしずくは1997年、当時の県畑作園芸試験場(五戸町、現・県産業技術センターりんご研究所県南果樹部)が品種登録を申請した。研究に携わった内藤誠部長によると、当初の目的は、台木の開発で、73年に「ナポレオン」と「マートン・グローリー」を交配して育成された。[br] 台木としては成果が出なかったが、裂果しにくいため雨よけ設備がなくても栽培できると期待され、デビューすることに。名前のJは、収穫時期の6月(June)7月(July)と、宝石(Jewel)から頭文字を取った。[br] しかし、果肉が柔らかく傷みやすいため流通せず、雨よけの設置も一般的になったため、ほとんど普及しなかった。[br] 今はほとんど見掛けなくなったJのしずくだが、県南果樹部には5本が残り、“後輩”ジュノハートの原木近くで活躍を見守っている。内藤部長は「ジュノハートに直接影響したわけではないが、青森のサクランボ研究の道を開いた品種。これからも残していきたい」と語った。「果汁が多く懐かしい味」とJのしずくを育成している小林正明さん=9日、八戸市南郷