青森県私立学校教職員組合連合は10日、県内私立中学生・高校生の2019年度の経済的理由による中退と学費滞納調査の結果を発表した。高校を経済的理由で中退した生徒は6年ぶりにゼロ。3カ月以上の学費滞納者は57人で前回調査よりも少なく、滞納率0・77%で9年ぶりに1%を切るなど、いずれも改善傾向が見られた。[br] 調査は、中学は全5校(生徒数471人)、高校は17校中15校(生徒数7402人)が回答。中学では、3カ月以上の学費滞納者が3人、滞納率0・64%だった。[br] 20年度からは国や県の就学支援金制度などが拡充され、年収590万円未満の世帯は授業料が実質無償となっている。県庁で会見した同連合の小野寺仁中央執行委員長は、学費滞納率が改善したことについて「制度の拡充で20年度への見通しがつき、保護者の負担が軽くなったのではないか」と指摘した。[br] 一方、授業料以外の負担は依然として大きく、19年度には経済的理由で修学旅行に参加できなかった高校生が32人と過去3年で最も多かった。小野寺委員長は「新型コロナウイルスの影響で、保護者の減収による学費滞納も懸念される。今後も調査を継続して状況を分析する」と述べた。[br] 同連合は同日、新型コロナによる臨時休校に伴う私立高の生徒と学校の実態調査結果も公表。9校が回答し、「ICT(情報通信技術)化を促進するため、公立と同等の助成金がほしい」などの意見が寄せられた。[br] 私立高の施設は学校法人が独自に整備しなければならないため、ICT整備に予算を回すことができない学校も多いという。小野寺委員長は「オンライン環境などで公私間格差が生じている。公私立を問わない補助について国政や県政に訴えていきたい」とした。