八戸産アカイカ売り込め! 「全国唯一の水揚げ」生かし切れず

北太平洋で漁獲されたアカイカの水揚げ作業=2019年9月、八戸市第3魚市場
北太平洋で漁獲されたアカイカの水揚げ作業=2019年9月、八戸市第3魚市場
全国的にスルメイカの不漁が続く中、代替の加工原料として、国内では八戸港のみで水揚げされているアカイカの注目度が高まっている。昨シーズンは過去10年で最多の水揚げとなるなど漁は堅調。ただ、知名度は今ひとつで「全国唯一の八戸産」という特徴も生か.....
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 全国的にスルメイカの不漁が続く中、代替の加工原料として、国内では八戸港のみで水揚げされているアカイカの注目度が高まっている。昨シーズンは過去10年で最多の水揚げとなるなど漁は堅調。ただ、知名度は今ひとつで「全国唯一の八戸産」という特徴も生かし切れていない。今月上旬に始まる水揚げを前に、水産関係者からは利用促進に向けた取り組みが必要との声も上がる。[br] 全国漁業協同組合連合会のまとめによると、2019年は国内のスルメイカの水揚げが3万2861トンと、統計を取り始めた1984年以降で初の3万トン台に落ち込んだ。一方、アカイカは7100トンで前年の4千トンから大きく伸び、過去10年で最多を記録した。[br] 東北区水産研究所によると、アカイカの系群は国内漁船が5~9月に北太平洋で漁獲する「秋生まれ群」と、12~2月に三陸沖などで漁獲する「冬春生まれ群」の2系統に分けられる。[br] 特に、秋生まれ群は今のところ資源状況が安定しているとみられ、東北水研の阿保純一主任研究員は「イカ類は海洋環境の影響を受けやすいが、少なくとも“限られた漁船数”かつ“釣り漁法”であれば過剰な漁獲となる可能性は低い」と説明する。[br] 青森県産業技術センター食品総合研究所によると、アカイカは外套(がいとう)長(胴体)が一般的に45~50センチでスルメイカ(24~30センチ)より大きい。身が厚くて柔らかく、加熱しても硬くなりにくい。[br] 主にフライやイカステーキ、さきいかに加工。さらに、近年は大手回転すし店でのすしねたや刺し身用にも使われるなど、徐々に広がりを見せている。とはいえ、スルメイカほど流通、加工は普及しておらず、流通先も県外大手が中心で地元利用は少ないという。[br] 地元のある加工業者は「柔らかい半面、加工のロスがやや多いのが課題」と指摘。別の業者も「塩辛などではスルメの方が消費者になじみがある」と転換の難しさを挙げる。[br] 八戸港所属で国内唯一の大型イカ釣り船「第30開洋丸」(349トン)を所有する開洋漁業(八戸市)の河村桂吉社長は、普及に向け「アメリカオオアカイカとの差別化が必要」とする。外套長が1メートルを超える大型で、ペルー沖などで漁獲される。身には独特のえぐみや臭みがあるが、加工技術で補い、広く加工原料として使われている。[br] ただし、食味ではやはりアカイカの方が良好。河村社長は「店頭でイカの種類を表示するなどし、消費者に選んでもらえるようになれば」と指摘。国内のアカイカの水揚げは全量が同港だけに、利用促進が「イカの町」を標榜する八戸のさらなる知名度アップにつながることも期待される。[br] 5月から北太平洋でアカイカ漁を行っている中型イカ釣り船団の水揚げは7月上旬からの見込み。北太平洋で漁獲されたアカイカの水揚げ作業=2019年9月、八戸市第3魚市場