国土交通、経済産業の両省は3日、洋上風力発電で海域の長期占有が可能なエリアの指定に向け、前段となる「有望区域」の本年度の選定結果を発表した。青森県の陸奥湾は「利害関係者の特定および調整が必要」との留意事項が付され、2年連続で選外となった。一方、県内では日本海沿岸の南北2区域が有望区域に初めて選定された。[br] 国は、洋上風力発電事業者に30年間の海域占有を認める「促進区域」を指定している。前段として、都道府県から提供された情報を基に、条件が整っているエリアを有望区域に選定。県は2月に3区域の情報を国に提出していた。[br] 陸奥湾は前年度に引き続き選外だったが、留意事項の「防衛面への配慮から制約を受ける区域である」との記載はなくなった。両省によると、防衛省と調整した結果、一部で立地の制限はあるが選外の理由にはならない―と判断した。[br] ただ、水の入れ替わりが少ない閉鎖性水域であるため、水産庁などが漁業への影響を指摘。引き続き、漁業者ら利害関係者との調整が必要とした。 陸奥湾では、野辺地、横浜両町の沿岸で青森風力開発(六ケ所村)などが洋上風力での発電事業を計画している。[br] 陸奥湾が選外になったことについて、野辺地町の野村秀雄町長は「残念だ。両町の漁協もやりたいという熱意があるので、今後も要望したい」と強調。隣接する平内町の船橋茂久町長は立地反対を明言した。[br] 有望区域に選定された日本海沿岸の南北2区域は、国による風況や地質の調査のほか、知事らでつくる協議会が設置される見通し。