天鐘(7月3日)

ファンならずとも心が躍る。東京ディズニーランド・シーが待望の営業再開だ。楽しい乗り物、人気者との触れ合いは一定の距離を保って。新様式で勝手が違っても、マスクの下には笑顔が満開。さすが「夢の国」▼行列が見当たらない。入場制限の恩恵らしい。一、.....
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 ファンならずとも心が躍る。東京ディズニーランド・シーが待望の営業再開だ。楽しい乗り物、人気者との触れ合いは一定の距離を保って。新様式で勝手が違っても、マスクの下には笑顔が満開。さすが「夢の国」▼行列が見当たらない。入場制限の恩恵らしい。一、二を争う人気アトラクション「スプラッシュ・マウンテン」も驚くほど待ち時間が少ない。別の観点で運営の見直しが進むのが、本家・米国の2施設である▼スプラッシュに関して、丸太のボートで急流を下る世界観はそのままに、テーマを変更するという。人種差別との批判を受けた異例の対応。白人警官による黒人男性の暴行死をきっかけに、署名運動が起きていた▼元の題材は1946年に公開された映画の劇中劇。貧しい初老の黒人と裕福な白人少年による交流を描いた『南部の唄』である。感動物語とは受け止められず、当時から誤った歴史認識を招くと反発があった▼黒人奴隷制度は法律が認めた。労働力として売買された。南北戦争終結で400万人が解放されたのは1865年。150年を経ても、迫害の歴史の方がはるかに長い。法的には自由でも、陰湿な視線がなお残る▼空想とされた映画は既にお蔵入り。だが挿入歌の『ジッパ・ディー・ドゥー・ダー』は愛され続ける名曲だ。「なんて素晴らしい日なんだ」。牧歌的で高らかな、あの翁(おきな)の歌声を現実にしたい。