時評(6月29日)

本来は北奥羽地方も中高生のスポーツが真っ盛りの季節だが、今年は新型コロナウイルスの影響で、晴れ舞台となる大会が次々と中止に追い込まれた。 そこで、大会関係者は「子どもたちに活躍の場を与えたい」と、代替大会の開催を模索してきた。感染防止対策が.....
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 本来は北奥羽地方も中高生のスポーツが真っ盛りの季節だが、今年は新型コロナウイルスの影響で、晴れ舞台となる大会が次々と中止に追い込まれた。[br] そこで、大会関係者は「子どもたちに活躍の場を与えたい」と、代替大会の開催を模索してきた。感染防止対策が徹底できるかを詳細に議論し、結果として開催にこぎ着けた大会も、そうはいかなかったものもある。いずれにしても、運営側の苦労は察するに余りある。[br] 岩手県中体連の橋場中士会長の会見が象徴的だった。県中学総体の開催可否を評議員会で決めた直後、暗い表情で会見場に入り、何度もため息をついた。出てきた言葉は「どうしても、感染の不安を解消できない」。中止の表明だった。[br] 感染者が「ゼロ」の岩手では、代替大会を期待する声が特に強く、県中体連の判断は一部のマスコミから批判も受けた。しかし、開催が正解で中止が不正解だろうか。子どもの安全を最優先に考えて出した結論であれば、やむを得ない判断と言えよう。何より、中止を決めた当事者こそが無念だったはずだ。[br] 結局、青森、岩手両県の県中学総体、県高校総体は全て中止に。子どもたちの宿泊や長距離移動に伴う感染リスクが、大きな障害として立ちはだかった。[br] そこで、中学は移動距離が短くて宿泊を避けられる地区大会や交流会、高校は日程と参加人数を絞り込んだ競技別の代替大会の開催へとかじを切った。地区や競技ごとに事情も異なるため、全てが実現した訳ではないが、それぞれ工夫を凝らして子どもたちの舞台を整えている。[br] 一方、高校野球は両県とも代替大会の開催が決まった。青森は会場を4球場から5球場に増やし、各球場の1日当たりの試合数を最大2試合に抑える。県の面積が広い岩手は地区予選を導入し、県大会出場校を約半数に絞り込む。[br] 両県とも原則無観客で、開会式は実施しない。消毒液を各会場に用意するほか、こまめに検温するなど、可能な限りの感染防止対策を講じる方針だ。[br] 数々の苦難を乗り越えて開催される代替大会が成功することを願ってやまない。そのためにも、感染防止対策は運営側に任せきりにせず、地域全体でサポートしたい。[br] 関係者や保護者でなくても、できることはある。手洗いやマスク着用など基本的事項を一人一人が徹底するだけで感染リスクは下がる。それが、参加する中高生の安全や大会の支援にもつながってゆく。