青森県内・家族経営協定/徐々に浸透、働き方明確化で責任感

家族経営協定を結んだ山口平さん(左から2人目)と千代さん(同3人目)夫妻。制度の周知が普及の鍵を握る=8日、五戸町役場
家族経営協定を結んだ山口平さん(左から2人目)と千代さん(同3人目)夫妻。制度の周知が普及の鍵を握る=8日、五戸町役場
一家で農業に取り組む家族が労働時間や給料など家庭内で独自の取り決めを結ぶ「家族経営協定」が、青森県内で徐々に浸透している。働き方の明確化により、経営者の配偶者や後継者に農業の魅力を感じてもらうことなどが狙いで、県内で協定を結んだ農家は201.....
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 一家で農業に取り組む家族が労働時間や給料など家庭内で独自の取り決めを結ぶ「家族経営協定」が、青森県内で徐々に浸透している。働き方の明確化により、経営者の配偶者や後継者に農業の魅力を感じてもらうことなどが狙いで、県内で協定を結んだ農家は2018年度末時点で1301戸に上る。県は「家族全体で経営に責任感が生まれる」と強調する一方、協定を結ぶメリットが分かりにくい―との声も。近年、農家の高齢化や担い手不足で家族経営の重要性が増す中、制度の周知が普及の鍵を握りそうだ。[br] 協定は、家族一人一人が農業経営に参加し、やりがいを持って働いてもらおうと、国が1990年代から普及を推進している。農業を営む家庭では労働時間や夫婦間の役割があいまいになっていることも多く、不満やストレスにつながるケースもある。[br] 協定では、経営計画や役割分担、労働時間などを文書として定めることとしており、中には「年に一度は必ず家族旅行」「配偶者に対してボーナスを支払う」などの内容を盛り込む農家も。締結すれば農業者年金の保険料の一部が助成されるほか、夫婦で1・5人分の「農業次世代人材投資資金」を受けられるなど経営面でのメリットも大きい。[br] 県三八地域県民局によると、5月末時点での管内の協定締結戸数は194戸。今月上旬には、五戸町倉石又重で農薬や化学肥料を使用しない少量多品目の栽培に取り組む山口平さん、千代さん夫妻が新たに協定を締結した。[br] 3年前に千葉県から移住し、研修後に独立したという山口さん夫妻は「あまり根を詰めず、夫婦で協力しながら取り組みたい。福利厚生も充実した制度なので、月に一度は一緒に温泉に行きたいと思う」と充実した表情だった。[br] 一方、制度への理解が十分に広がっていないこともあり、県が設定する21年度末までに全県で1450戸という目標には及んでいないのが現状。県農林水産政策課の成田澄人課長は「青森など農業県では経営面で危機感のある農家が少ない。若手農家や経営参画を推進する女性を中心に、制度をPRしていきたい」と強調した。家族経営協定を結んだ山口平さん(左から2人目)と千代さん(同3人目)夫妻。制度の周知が普及の鍵を握る=8日、五戸町役場