差別「自分たちだけで十分」 混乱招き自責の念/コロナ感染の男性証言

新型コロナウイルス感染後の暮らしや思いを振り返る男性=22日、青森県内
新型コロナウイルス感染後の暮らしや思いを振り返る男性=22日、青森県内
青森県内では27人の新型コロナウイルス感染者が確認された。このうち男性1人が取材に応じ、感染の恐怖などを振り返った。男性は自らの感染によって、公共施設の閉鎖や学校休校など県内に大きな混乱を招いたことの責任を痛感していることを明かし、「取り返.....
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青森県内では27人の新型コロナウイルス感染者が確認された。このうち男性1人が取材に応じ、感染の恐怖などを振り返った。男性は自らの感染によって、公共施設の閉鎖や学校休校など県内に大きな混乱を招いたことの責任を痛感していることを明かし、「取り返しのつかないことをした」と後悔の念。退院後は世間の厳しい批判や、いわれのない誹謗(ひぼう)中傷も受けたといい、「責められても仕方がない。ただ、自分たちもこれから、生きていかなければならない」と消え入りそうな声で話した。[br] 「まさか自分が…」。PCR検査「陽性」の結果が最初は信じられなかった。症状は全くなかった。即入院と聞かされ、家族と今後の生活について短く話した後、数日分の着替えを持って自家用車で病院へ向かった。[br] 裏口から入った院内は厳戒態勢で、入院患者や見舞客らと接触しないよう誘導された。隔離された個室では、医師や看護師による経過観察以外、誰かと会う機会はなかった。携帯電話で家族と連絡を取り合ったが、入院生活は孤独との闘いだった。[br] 定期的に行われたPCR検査では、陰性と陽性を繰り返した。肺炎を発症し、転院した感染者がいることも聞いた。「自分もいつどうなるのか」。回復状況が分からず、無症状であることが逆につらかった。[br] 半月以上に及んだ入院生活を終え、自宅に戻ると容赦ない非難が待っていた。電話や手紙が相次ぎ、学校が休校になったという子どもの保護者からは謝罪を求められた。顔も知らない人から罵声も浴びせられた。インターネット上には、「公開処刑」という辛辣(しんらつ)な文字とともに自分の写真がさらされた。[br] 「自殺した」という誤った情報を流された感染者や、無関係の人が当事者として疑われるケースもあったと聞いた。人との関わりに恐怖を覚え、食料品の買い出しを親せきや知人に頼み、外出機会を減らした。出掛けなければならない時は地味な服装を選んだ。信頼していた人たちも去っていった。今も好奇の目を向けられているように感じる。[br] 感染者への差別は全国各地でも見られる。男性は差別に対して声を上げたいが、多くの人に迷惑を掛けたとの思いが口をつぐませる。「新たな感染者が出ても傷付けることはやめてほしい。自分たちだけで十分だ」と苦しい胸の内を明かした。新型コロナウイルス感染後の暮らしや思いを振り返る男性=22日、青森県内