天鐘(6月22日)

「あの◯◯は今」をテーマにした記事や番組は多い。往時を懐かしんで、新事実に驚くこともある。早熟のスポーツ選手、一世を風靡(ふうび)した芸能人、大ヒット商品…。そんな存在はコメの世界にも。ササニシキである▼サラッとして料理を引き立てる良食味米.....
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 「あの◯◯は今」をテーマにした記事や番組は多い。往時を懐かしんで、新事実に驚くこともある。早熟のスポーツ選手、一世を風靡(ふうび)した芸能人、大ヒット商品…。そんな存在はコメの世界にも。ササニシキである▼サラッとして料理を引き立てる良食味米。収量も多く、30年ほど前まではコシヒカリと双璧を成すブランドだった。だが1993年の大冷害で壊滅的な被害を受ける。作付けが急減し、今や希少種となった▼耐冷性があり、外食産業の引き合いも強い。市場に名を連ねて10余年を経て、まっしぐらは青森県産米の主力に成長した。昨年産の食味は特Aで初の最高ランク。“コメ戦国時代”に得た称号に消費拡大を期待する▼そして県産良品の大型新人である。サクランボの新品種「ジュノハート」は異彩を放つハート形。大ぶりな果実に開発者の情熱、生産者の真心がぎっしり。間もなく全国デビュー。評価を確固たるものにしたい▼今まさに旬。主産地の南部町でサクランボ狩りが始まった。今年は感染症対策を強いられ、園地によって作柄にばらつきがある。異例の予約制だが、直売所は盛況。その様子に安堵(あんど)する▼「ジュノ」は家庭の幸福を象徴する女神の名。なるほど、輝く赤い実が愛(いと)おしそうに寄り添う。来年は人との距離を気にせずに、鈴なりの樹に手を伸ばして、心置きなく頰張りたい。「あの頃は…」と笑えたらいい。